白虎4
2001年○月6日
起きて少しした頃、Gフォンが鳴った。
敵が出現したのだ!
敵が現れた場所にみんな集まった。少し遅れて冴も来た。
赤(昨日子猫を見せたとき、なぜ泣いていたんだろう…。)
レッドは気になったが、今はそれどころではない。
敵が片付いた後に聞くことにした。
敵の戦闘員数はいつもより格段に多く、かなり苦戦した。
ダメージもかなり受け、みんな必死になって戦った。
そして、やっと敵を片づけた。
数十分もぶっ通しで戦い続け、彼らは疲れ果てていた。
皆それぞれかなり離れた位置に散ってしまっていた。
しかし、どこか釈然としない。戦闘員だけなのか。
オルグの強敵はちっとも現れない。
これで終わりなら、この戦いは何の意味があったのだろう。
てっきり戦闘員と戦わせ疲れ切ったところにオルグが現れると思ったのに、その気配はない。
もう終わってしまったのだろう。
そう思ったみんなは、変身を解いて集まることにした。
冴もヘトヘトな脚で皆のところに戻ろうとした、その時である。
冴「きゃっ、、んむっっ!?」
急に後ろから羽交い絞めにされ、悲鳴を上げようとしたところに口を塞がれた。
そのまま物陰に引きずられ、皆から見えなくなった。
ここまでほんの数秒だった。
冴「んぅっ! んん~!!(皆、助けて!)」
言いようのない恐怖を感じ、塞がれた口からくぐもった悲鳴を出し、皆に助けを求め、必死に抵抗した。
だが抵抗しても、疲れ切った体では力も入らずびくともしない。
いや、そうでなくてもこの強い力には抗えないだろうが。
何とか声を上げて助けを求めようとしたが、口をしっかりと塞がれ、くぐもった声しか出せず、散って離れてしまった仲間にはとても届かない。
後ろの人の腕は金属で、こいつはロボットのような男だと思った。
しかしなぜ…? 誰なのか?
しかしそんなこと考える余裕など冴にはなく、懸命に助けを求めようともがく。
冴「ん~~! んんぅ~!!」
やがて冴とロボの周りが光り輝き、フッと二人は消えてしまった。
皆が知らないところで、冴は何者かにさらわれてしまった。
気がつくと冴は男に羽交い絞めにされ口を塞がれたままどこか建物の廊下にいた。
後ろの男に瞬間移動でさらわれてしまった、と自覚した冴。
男は冴の口を塞いだ手を離さずそのまま奥の部屋の扉まで冴を押し、部屋の中に押し入れた。
冴「きゃっ!!」
部屋の中に倒れ込む冴。
すかさず後ろを見るが、もう誰もいない…。
一体誰が、、どういうことなのだろうか?
と、周りを見た冴はとんでもない事に気づいた。
この部屋、自分の周りに、ガラの悪い黒服の男たちがたくさんいた。
すぐに分かった。ヤクザだ。
ヤクザがここで何か取引をしている最中だったのだ。
冴「あ…あ…っ!」
ヤ「な、何だこのガキは!?」
ヤ「おい、逃がすな捕まえろ!」
突然の絶体絶命の状況に困惑し恐れ慄く冴に襲いかかるヤクザ。
冴はすかさず身をかわし、疲れた体で何とかヤクザ達と戦う。
一人、また一人と倒す。
こんな幼い少女が…、驚き慌てるヤクザ達。
と、ヤクザのリーダー格っぽい男がそっと冴に気づかれぬよう間合いに入り、
冴「はあっ!! …う…っ!」
後ろから冴の首筋に手刀を食らわせた。
冴はダメージで力が抜け、その場に倒れる。
ボス「小娘が…」
倒れ込む冴にヤクザが覆いかぶさっていく。
抵抗したいが、さっきの手刀のダメージで体が動けない。
とうとうヤクザに押さえつけられてしまい、小さい手首を掴まれ後ろ手にされ、そのままロープでしっかりと縛られてしまった。
ヤクザの一人が冴のきれいな前髪を掴み無理やり上向かせる。
冴「いあっ…!!」
痛みに顔をゆがませる冴。
その顔をヤクザは覗き込み、「何なんだこのガキは」とつぶやく。
ヤ「ボス!他にここに来た奴はいませんでした。」
ボス「分かった。どういうわけか知らんが、見られちまったんだ。返すわけにはいかないな、お嬢ちゃん。」
冴の頬や黒髪を撫でながら脅すボス。
どういうわけ…冴にも訳が分からない。
急に後ろから羽交い絞めにされ口を塞がれこんなとこにに連れ込まれて、、。
訳が分からず冴は混乱しきっていた。
そんな冴にボスは淡々と周りを見渡し、
ボス「ずいぶんと私の部下を可愛がってくれたな。御礼に今度は私がお嬢ちゃんを可愛がってやるよ。」
ゾクリと身を震わせる冴。
冴「いづっ…! ったい…っ!!」
すかさずボスが冴の髪を掴み無理やり立たせ、痛がる冴を無理やり歩かせ、ある大きな瓶の目の前に立たせた。
中には水が入っていた。
冴「やぁっ…!離して!」
ボスは冴の後ろに回り彼女の肩と後頭部を押さえ、顔をその水に押し込んだ。
ザブッ!!
水の中に顔を突っ込まれ、苦しげに必死に息を止める冴。
少し時間が経ったところでボスは冴の顔を引っ張り上げ、
冴「んはあっ!! げほぇっ! けほっ! …あっ!!」
ザブッ!!
冴の呼吸が落ち着く間もなく再び水の中に顔を押し込まれた。
息苦しさに、必死に抵抗する。
括られた後ろ手をもがかせ、足をばたつかせる。
だがそんな抵抗を完全に封じ、ボスは冴の顔を水に入れては時間をおいて引き上げ、呼吸を落ち着かせる間もなく水の中にまた押し込む、を繰り返した。
彼女の顔や髪はすっかりずぶぬれで、何とも痛々しかった。
掠れた声で「やめて」と必死に懇願する、だがボスはそんな懇願を無視し、彼女の顔をまた水に押し込む。
周りのヤクザ達は、仲間がやられたとはいえ、まだ年端のいかない女の子相手に容赦ない拷問を繰り返すボスに、畏怖の目を向けた。
やがて、呼吸が弱くなってきた冴は、とうとうガクンと足が折れ、その場に膝まずいてしまう。
だがそれでもボスは容赦なく、
ボス「立ちなさい!」
と弱り切っている冴の小さな体を持ち上げ、嫌がる冴にお構いなく、再び水に顔を押し込んだ。
2,3回繰り返され、水に顔を押し付けられた冴は、とうとう堪え切れずに水を飲んでしまった。
ゴボッと大きく気泡が浮き、冴が水を飲んだと思ったボスはすかさず冴の顔を引き上げた。
冴「う…。」
彼女は気絶していた。少し水を飲んだようだ。
散々痛めつけた冴を放り出し、部下に命令する。
ボス「その娘はガオレンジャーだ!武器を回収して、もっと厳しく縛り上げておけ!口も塞いでおくんだぞ!」
そう言いその場から一旦去る。
残された部下は、彼女の濡れた顔や髪を拭き、Gフォンを回収した。
そしてさらに新たにロープの束を取り出す。
部下は手慣れた手つきでロープを彼女の体にきつく巻きつける。
シュルシュル、と音を出し、彼女のいたいけな体に太いロープがグルグルときつく巻き付けられていく。
一方ガオズロックでは、
青「冴はまだ見つからないのかよ!」
黄「ああ、もしかしたらオルグ達のアジトにさらわれたのかも…」
黒「ちくしょう!あいつらめ!」
そんな中、レッドは違和感を覚えていた。
昨日、冴が突然泣き出した事、それと今回の誘拐は何か関係があるんじゃないか。
同じくブルーも、これはただの誘拐でない、と何か違和感を感じていた。
冴は何か、俺たちに言えない、辛い何かを抱えていたんだ…。
戦いが終わったら聞こうと思ったのに、その前に冴は連れ去られてしまった。
自分に歯がゆさを感じるレッドとブルー。
体が、、苦しい…
遠かった意識が、苦しさに顔を歪ませながら覚めていく。
冴「う、、ん…」
目を覚ます冴。目に入ったのは殺風景な壁や床だ。
冷たく硬い床の上で寝ている。
ここはどこだろう…見たこともない光景だ。
だが事態はかなり深刻だった。
体に感じる苦しさに違和感を覚え、寝起きでボケッとした頭が覚醒していく。
自分の体を見た冴は、驚きに目を見開く、一気に目が覚めた。
冴「んぅっ!?(なっ…!何、、これ…?)」
冴の全身にはロープが巻きつき締め上げていた。
それだけじゃない、口にはしっかりと猿轡が施されていた。
Gフォンで助けを…だがGフォンは取られてしまっている。
冴「んふっ…ぅ…。(そ、そうだ…あたし、、ヤクザに捕まって…。どう、どうする気なの? こ、こんな事…)」
どうやらここはどこか小さな部屋で、中は椅子が一つあるだけで薄汚く、、天井近くに小さい窓が一つついているだけだった。
それ以外は分からない。
捕まった時と同じ建物なのか、いやそもそも捕まったあの建物がどこなのかすら分からない。
そもそも戦闘員と戦い終わった後、何者かに拉致されて、瞬間移動でいつの間にか連れ去られてきたのだから。
そう、自分を拉致したのは誰なのか…。
オルグなのか、それにしてはヤクザの所に運び込むのはおかしい。
しかし、自分を陥れるためなのは間違いない。
悔しさに猿轡を噛みしめる。。
どういうことか、どうしてなのか、、。
敵の正体や真意が全く分からない冴は、言いようのない不安と恐怖に心が締め付けられる。
縛られた嫌悪感と恐怖感から、ヒュウ、ヒュウ、と息を漏らし、体を震わす。
すかさず解こうと小さな体でもがく。
冴「んっ…!ん、、うぐ…っ、ふぅっ!!」
しかし体を動かしても、全くびくともしない。
ギシギシッと軋むような嫌な音がするだけだ。
胸の上下にしっかりと縄が巻き付けられ、それがまだ膨らみかけの小さい胸を容赦なく締め付けている。
さらにその補強をするように脇に割縄が施され、胸をさらに絞り腕の動きを完全に封じていた。
それらのロープは後ろ手にしっかりと縛られたロープに見事連結されていた。
それから足首もスカートからはみ出る健康的な太ももにもロープがきつくグルグル巻きにされていた。
そして口の猿轡。感触からして、口の中にハンカチの様なもので詰め物をされて、その上から手拭いをしっかりと噛まされていた。
そのおかげで、舌が圧迫されて動かせず、さらにハンカチ自体が防音の役割をして、声を出そうにもほとんど出ない。
冴(だめ、、ほどけない…!)
容赦のない拘束だった。
ロープはきつめに締められ圧迫感がするほどだった。
そしてさらに冴に屈辱を与えたのが、首輪だった。
彼女の細い首にベルトの首輪が嵌められ、そこから延びた鎖が高い壁の梁に括られていた。
この場から逃がさないためだ。
飼い犬さながらの、容赦のない拘束に、屈辱と恐怖で体が震える。
自分はヤクザに捕まってしまった。
それがどういう意味か、まだ幼い冴にも薄々分かる。
殺される…いや例え殺されないとしても、きつい拷問を受けるのか、、海外に売り飛ばされるのか…。
だがこれだけは言える。もう帰れない、無事はない…と。
恐怖から冴の息が早く荒くなり、幼い顔が見る見る泣きそうになる。
それからさらに数時間過ぎたか。
冴は無駄だと分かっていながらも、恐怖と不安で大人しくしていることはできず、必死に無駄な抵抗を、体をもがかせていた。
部屋は薄汚いが、掃除は以外とされているようで、欠片の様なものは一つもない。
どうしよう…焦燥感が強まっていく。
猿轡された口からくぐもった小さな声が漏れる。
その息もさらに荒くなる。
だが、、結局ほどけるどころか、緩む気配もなかった。
無理もない、彼女を縛ったのは手慣れたヤクザだ。
元々力の弱い少女である上に、縛り方もしっかりとかつ特殊で、割縄のせいでそもそも腕が動かせない。
とても拘束をほどけるはずなどなかった。
それでも冴は、迫りくる恐怖に怯え瞳に涙をためて時折嗚咽を漏らしながら、縄をほどこうともがく。
だが、その時だった。
人の足音が、それも一人や二人ではない。
それに気づいた冴は、ビクッと肩をそびえる。
これから、何かひどい事をされる…。
冴(ぃゃ、、いや、、いやっ!)
恐怖に身を震わせる冴だった。
扉が開けられ、人が、、やはりあのヤクザだった。
ボスと、部下数人だった。
自分に向いゆっくりと歩くボス。
冴は気丈に睨むが、恐怖を隠しきれず、身を震わせ、猿轡された口から息を漏らす。
後の部下は周りにつき、彼女を見張る。
ボスはゆっくりとした動きで、彼女の不安感を煽るように周りを歩く。
彼女を見下ろしながら、まるで鑑賞するかのように。
そんな行為に憤る冴はさらにボスを睨むが、それもだんだんと根負けしたような弱々しい表情へと変わっていく。
それだけボスは冷酷で執拗な視線で冴を見て、時折迫るようなフェイントの行動をとり、それに怯える冴。
そんなことを繰り返されるうちに、彼女は弱々しい表情へと見る見る変化していく。
ボス(ふふふ、可愛い子だな。)
そんな彼女の反応と表情がいちいち可愛く、ボスは足を止め、彼女の目の前にしゃがむ。
冴は怯えるが、すかさず気丈な顔に戻る。
そんな健気さも何とも愛らしいと思うボスだった。
ボスはゆっくりとした動きで彼女の顔に手を伸ばし、彼女は震えながらもその手を見つめる。
そしてボスはその片手で冴の片方の頬を包むように触れ、撫でる。
冴「ん…っ、ふ、、ぅ…っ」
思わずビクつき、目を瞑る冴。
本当に可愛らしい反応だ。
そしてもう片手で、さっき取り上げたGフォンを出し見せびらかせ、瞳を見開く冴に囁く。
ボス「お嬢ちゃんの荷物を調べたよ。大河冴。16歳。高校生なんだな、てっきり中学生かと思ったよ。」
冴「…っ」
ボスの行動に怯えながらも、自分が気にしている幼い外見を指摘され、ムッとする冴。
さらにボスは急に彼女の胸を鷲掴みにし、
冴「ひゅうぅっ!!」
可愛らしい悲鳴をあげ思わず顔を逸らそうとする冴の顎をすかさず掴み固定するボス。
嫌悪感と屈辱いっぱいの顔。何ともそそられる光景だった。
ボス「まだまだちっちゃいな。」
冴「…っ!」
自分の胸を指摘されているのは明らかだ。
冴は胸を掴まれたショックに必死にイヤイヤをしながらも、そんな言葉に憤る。
ボス「ガオレンジャーに一人女戦士がいるとは聞いてたが、まさかお前みたいなお嬢ちゃんだったとはな。世の中本当に分からないものだな。」
若い彼女のスベスベな肌の頬をプニプニと突き感触を、また彼女の反応を堪能しながら、ボスは彼女の首輪をはずした。
それからすかさず彼女の小さい体をヒョイと抱き上げ、困惑しくぐもった悲鳴を出す冴をイスに座らせ、部下にイスに括りつけるよう指示する。
ロープを持って部下が冴に近づく。
嫌がる冴をよそに、部下は淡々と、しかし力強く冴を押さえつけイスにきつく縛り付ける。
彼女の腰とイスの背とを一緒に巻きつけ括りつけ、さらに足首を再度縛りあげてイスの足に固定した。
すでに縛られ体の自由を奪われた冴には、喚いてイヤイヤをすることしかできなかった。
これから自分をどうするつもりなのか…考えるだけで泣きそうだ。
すると再びボスが迫り、怯み顔を俯かせる冴。
ボスは素早く後ろに回り込み、後ろから素早い手つきでかつそっと、片手で彼女を抱き、もう片手で顎を摘み上向かせる。
冴「んんっ!ふぅっ…」
抱きつかれたことに驚き困惑する冴。
そしてボスは、いやらしい手つきで顎周辺を撫でさする。
冴「うぐぅっ!」
悲痛な表情と声でボスの指から逃れ顔を俯く冴。
しかしボスはすかさず顎を摘み上向かせ、怯える冴の顎筋や猿轡を噛む唇を再び撫でる。
いやらしい指が唇に触れると、怯えた彼女は嫌悪感をいっぱいに表し顔を逸らすが、それでも執拗な指は彼女を追いかけ再び顎を捕まえ、唇を撫でる。
年頃の冴にとって、唇は将来恋人とキスをするための大事な部分、という可愛らしいイメージを強く持ってた。
その唇に触れられた途端、悲痛な面持ちで逸らし、猿轡をさらに強く噛む。
そんな様子がまた愛らしい。
しかしすぐまたボスの指に捕まる、こんなイタチごっこを当分繰り返された。
そしてボスは強めに彼女の顎を捕まえ自分の方に顔を向かせる。
冴は瞳に涙を溜めながらも、気丈に睨みつけてくる。
その姿は凛と美しいものだった。
ボス「(ほう…。ガキだとばかりおもっていたが、、こりゃ将来が楽しみな娘だな。)お嬢ちゃんの成長した姿がもう見れなくなると思うと、心残りだな。」
自分を殺す、と暗に示すボスの言葉に、冴は目を見開き恐れ慄く。
ボス「なんだその目は。まさか生きて帰れると思ってたか? まったく…おれたちはヤクザだぜ。世間知らずのお嬢ちゃんだな。」
そんなボスの言葉に憤るが、それ以上に殺される恐怖が強く冴を支配する。
そんな冴の様子を堪能しながらボスは何か取り出し、言葉を続ける。
ボス「取引を見られたからには生きて返せない。悪いが死んでもらうぜ。今日はこれの取引だったんだ。」
取り出し目の前に晒されたたものを見て冴は驚き怯える。
それは明らかに爆弾だった。それもタイマー式のだ。
冴(こ、、これであたしを…爆死させるの…?)
見る見る冴の呼吸が速くなる。
爆死させようとする事がわかり、怖がっているのだろう。
本当に可愛い反応をする娘だ…。
怖がる冴を堪能しながらボスは、冴の怯えを煽るようにゆっくりとした動きで爆弾を冴の胸に押しつけ、ロープで括りつける。
恐怖で呼吸が速くなることにより、大きく揺れる冴の体につられ、括りつけられた爆弾も動く。
本当に自分の体に括りつけられてしまった事を思い知る。
目の前の爆弾を見て怯える冴に、ボスが淡々と説明する。
ボス「いいか? この爆弾を今から4時間後にセットする。4時間後には、この爆弾はこの部屋ごと…ボンッ!! てなるわけだ。」
冴の目の前で、手でジェスチャし大声で脅かし、不安と恐怖を煽る。
その大声とジェスチャにつられ冴はリアルに感じ驚き、ビクッと肩をそびえさせる。
恐怖で歪む彼女の顔を堪能し、ボスはさらに彼女の体に指を這わせ、
冴「っ…!!」
ボス「お嬢ちゃんの小さい体…この胸が、、腕が、、足が、、この髪が、、そしてこの可愛らしい顔が、、」
そう言う箇所に掌をいやらしく這わせながら囁く。
ボス「すべて吹っ飛んで、バラバラになって、、死んで行くんだ…。」
最後に彼女の顎を摘み自分の方に顔を向かせ、脅かすボス。
その言葉に冴は恐怖でいっぱいになり、涙を流す。
ボス「言っておくが助けを期待するな。どうやってお嬢ちゃんがここに来たか知らねえが、この辺りはずっと廃墟の工場が立ち並んでる。誰もいやしねえからな。」
と彼女の胸の爆弾をコツコツと指でたたき、彼女の不安を煽り、そのたびに彼女は小さな悲鳴を出す。
ボス(この可愛い表情を眺めるも最後だな…。)
そしてボスは手慣れた手つきで爆弾のボタンを操作した。
不安げにそれを見守る冴。
それにより爆弾のタイマーがセットされ、時間表示が出て、チッチッと音が鳴る。
それが彼女の恐怖を煽った。
冴「んっ…ん…ぅ…っ!」
引き攣った顔でその様子を見て、恐怖で息が詰まる。
最後にボスが彼女の顔にその顔を寄せ、
ボス「じゃあな、お嬢ちゃん。成仏しろよ。チュッ」
冴「んぅ…っ!!」
彼女の頬の、唇のそばに口付けをし、その行為に冴は憤り悔しい目でボスを睨む。
ボスはいやらしい笑みを浮かべて部下とこの部屋を後にした。
中には、イスにきつく縛りつけられ爆弾を体に括りつけられた幼い少女だけが残された。
人がいなくなった途端、冴は恐怖で小刻みに震えてた体を思いきり動かし、拘束をほどこうと懸命にもがき、必死に猿轡された口からくぐもった悲鳴を上げて助けを求める。
しかし猿轡もロープも、どれもびくともせず、彼女に食い込んでいた。
胸に取り付けられた爆弾は、刻々と爆発までの時間を縮めていった。
あと3時間半…とにかくもがき続けるしかない…。
後ろ手の手首に括られたロープを外そうと、手首が擦り切れるような痛みを我慢しながら懸命にもがく。
だがやはりびくともしない。
少女の力ではやはり決定的に切るには足りない…。
どうにかしないと…刻々と時間だけが過ぎる…。
…もがき続ける冴。
手首のロープを、イスの足に括りつけられた足首のロープを、ほどこうと痛みをこらえて懸命に手足を動かす。
しかし、しっかりと縛りつけられたロープはやはりびくともしなかった。
これだけ効果がないなんて…少女の顔に、焦燥の色が浮かんでくる。
額には汗が浮かび、焦りと恐怖から、目には涙が。
あと2時間。時間はどんどん経過していく。
冴「んぅ~っ!!」
そうイライラを払拭するように猿轡された口からくぐもった声をあげ、体の力を抜いて抵抗をやめた冴。
もはや単純にもがいても無駄だと気付いたのだ。
冴(あたし…死んじゃうんだ……)
諦めの表情を浮かべる冴。
今までのことを思い出す冴。
お父さんとお母さんとのこと、友達とのこと、クラスメートとのこと、仲間とのこと…。
皆優しかった、大好きだった…。
暖かい思い出がフラッシュバックされ、ブワッと涙があふれ、嗚咽を漏らす。
冴「んっ…んふっ…ぅ…!(どうして…どうしてこんな、、ことに…)」
あの頃に戻りたい、みんなに会いたいと思う。
冴(皆に会いたいよ…もっと生きたいよぅ…!)
涙が止まらない冴だった。
だが、胸に取り付けられた爆弾は、そんな間もチッチッと無情な音を出す。
ふとその爆弾を見る。
もう1時間半しかなかった。あと1時間半で自分は…。
恐怖が戻り、冴はまた体をもがかす。
冴「んぅう~っ!!(いやっ…!!あたし、、まだ、死にたくないっ!!)」
悲痛な顔でもがく。
しかしやはりロープは緩みもしない。
冴はイスの座らせられ固定された不自由な格好で、辺りを見渡した。
冴(何か、、お願い…!何か…。)
と、イスの斜め後ろの、排水管のような柱を見ると、柱の補強のための鉄帯が腐食し、柱から取れかけていた。
あの細長い丈夫な鉄なら、もしかしたら…!
希望を取り戻した冴。
そこに進むことにした。
が、縛られイスに座らされ、さらに両足首も括られイスの足に固定されている。
そのため、どうやって移動しようかと冴は戸惑った。
その間も、爆弾のタイマーは刻々と時間を刻む。
とにかく行くしかない!
冴は呼吸を落ち着かせて力を込め、後ろにイスを押した。
冴「んんっ!!」
だがやはり不自由な身だ、ほとんど動かない。けど、
冴「(少し動いた!これを繰り返せば、、)んぅっ!!」
全力で必死にもがいた割にはほとんど成果が出ない。
だが冴はそれでも健気にその作業を何回も繰り返し、イスは少しずつだが柱に近づく。
そしてしばらく経ち…。
冴はしきりに胸の爆弾の時間を気にしながらもがく。
もう1時間もない。汗を噴き出しながら懸命にもがく。
けど努力の甲斐あってイスは結構進み、もう少しで柱の鉄に指が届きそうだった。
…また時間が経ち、そろそろ届くかも、と思った冴は、後ろ手に縛られた指を懸命に伸ばし、指をもがかせて鉄帯を探る。
だが、ほんの紙一重で鉄帯に指が届かない。
冴は焦燥感いっぱいだったが、何とか懸命に冷静さを取り戻し、イスを移動させる。
…そして、ついに鉄帯を手に取った。
かなり丈夫そうで、また細長いため、これならロープを切れるだろうと強く思えた。
もう40分をとうに切っていた。
冴(は、、早くしないとっ!)
冴はその鉄帯を後ろ手のロープに当て、懸命に擦った。
冴を縛り上げているこのロープもやはり丈夫で、簡単には切れない。
どんどん時間が経っていく。
あと20分…。
懸命に汗をかきながらもがいて鉄帯を擦らせている冴も、焦燥感が強くなり、恐怖感に心が締め付けられる。
冴「んふっ…!ぅく…っ!!(お願い…早く切れてっ!)
タイマーは10分を切った。
恐怖に涙がこぼれる冴、と、
ヴチィッ
手首のロープが切れる音が、やった!
手首を懸命にもがかせ、ロープの締め付けが緩み、とうとう手首のロープがほどけた。
そして、少し時間がかかりイスに括った腰のロープを、足首のロープを、太もものロープを外し、
そして、爆弾を見て、あと5分しかない。
恐怖と共に冷静にならなきゃ、という思いに駆られる。
下手にショックを与えて爆弾が爆発するかも、、そんな事になったら自分は…。
迫りくる恐怖で焦りに駆られる気持ちを抑え、目の前の、胸に括られた爆弾のロープを慎重に外し、爆弾を体から外した。
そっと爆弾を床に置き、ホーッと一安心し、急いで上半身に絡まっているロープも外した。
あとは猿轡を解くだけだが、タイマーは残り1分もない、そんな余裕はない。
冴は猿轡をつけたまま走り、扉を開け、部屋から脱出した。
なるべく遠くに…! そう冴は懸命に廊下を走った。と、
ドオオオーーーンッ!!!!
冴「むぐぅっ!!」
爆弾が爆発し、あの部屋と、その周辺が破壊された。
衝撃で冴は転び、、容赦ない威力だった。
もしあのままあそこにいたら、確実に自分は吹っ飛んで爆死していただろう。
結果、爆発による怪我はなかった。
冴(ほぉーーっ…よかったぁ…!)
本当に死ぬかと思ったため、結果助かり、とても安心した。
だが、その安心による油断に、彼女はそっと自分に迫る気配を察知できなかった。
自分の体を見る冴。手首と足首には、ロープの跡がくっきりと。
特に懸命にもがいた手首には、跡が赤々と痛々しく残っていた。
痺れてすらいた手首をさすりながら、ほっと肩を撫でおろす。
その場にペチャンと座ったまま、冴は猿轡を外そうと後頭部の結び目に手をかけようと…
ガチャッ
冴はビクッと肩をそびえる。
その後頭部に何か固いものが押しつけられた。
おそらくライフルだ、自分の敵に違いない…。
いつのまに来た者に、後ろを取られライフルを突き付けられた。
冴は猿轡を外そうとした手を動かせない。
冴(いやっ…せっかく助かったのに、、一体、誰…?)
男「爆死しなくてよかったな、おチビちゃん。」
と、後ろの者が口を開く。冴は驚いた。
聞き覚えがある、自分を脅迫したあの男だ!
男「まさかやつら、こんな子供相手に爆弾を使うとはな…。だが逃げられるとは思わなかったよ。ま、元通り俺に捕まっちまうけどな。ご苦労さん、おチビちゃん。クヒヒッ…!」
その言葉に恐れ慄く冴。
一体どういうことなのか、、聞こうとしたいが、猿轡が口を塞いだままで、言葉を発せられない。
解こうにも銃を突き付けられ、体を動かせない…。
だが男は冴の疑問を見抜いたように、ペラペラと話す。
男「オルグとの戦場からヤクザのとこにさらったのはこの俺だよ。面白そうだったからなぁ。ギリギリで助けてやるつもりだったが、よく逃げれたもんだ。いいものが見れたぜ、本当に。いい写真と映像も撮れた。」
冴(な、、そんなっ…! 全部、、こいつが…。こいつの愉しみのために…あたしは、、死ぬほど怖い、、苦しい目に遭ったっていうの…? そんなの、、ひどすぎる…っ!!)
そして戦場からさらわれたあの時、この男が瞬間移動した事を、ロボットだった事を思い出した。
やっぱりこいつは普通の人間じゃなかった、と確信した。
一体何者なのか、、だが男はやはりその疑問には答えない。
けど冴はもう怒り心頭だった。
そして男は彼女の後頭部にライフルをさらにぐいっと押しつけ、
男「さて、一安心したところで、また俺に捕まってもらうとするか。」
冴(そんな…せっかく助かったのに…。いや、、絶対にいやっ!)
意を決した冴は、素早い動きで振り返り、
冴「んっ!! んんっ!!」
猿轡された口で気合いの声を発っし、片手でライフルを払い、蹴りを入れようと、、
しかし蹴りが決まる寸前、男は消えた。
それに驚き、立ち上がって辺りを見渡して捜す。
だが気配が感じない…そして、
冴「ふぅっ…!」
後ろから背中にライフルが押しつけられ、驚きと恐怖から思わず手を小さく上げる。
男はぐいっと彼女の小さい背中を押して無理やり歩かせ、
男「くひひひっ! 無駄だよ、お嬢ちゃん!」
と笑いながら冴を罵倒する。
冴は「くっ!」と悔しがりながら、押されて歩く。
それから男は、冴の上着の後ろの襟足を掴み立ち止まらせ、
冴「う…!」
立ち止った彼女の膝裏を蹴り膝カックンした。
冴はすぐさまガクンと膝が折れ、その場に跪いてしまった。
また座らされた…。
この扱いに憤る冴に、男は突きつけたライフルを、彼女の背中と後頭部の間をゆっくりと動かし押し付け、冴に恐怖を与える。
と、ライフルを背中に押し付けたまま、男は突然ハンカチで彼女の猿轡を噛まされた口を塞ぎ、
冴「んむっ! …ぅ…っ」
ツンと刺激臭が鼻につき、目眩がした。
睡眠薬、と感づく。
冴「(し、しまった…。せっかく、助かったのに…。あたし、、また、、捕まっ、て……)、ん…クゥ…」
強力な睡眠薬を嗅がされ、意識がなくなり体の力が抜け、後ろの男に倒れ込み、深い眠りに落ちてしまった冴。
男はいやらしい笑みを浮かべ、胸の中でスヤスヤと可愛い寝息を立てて眠る冴のきつく猿轡を噛まされた顔を愛おしげに撫で、そのまま腕に抱いて運んだ。
脅迫者の策略にまんまとハマり、再び捕まってしまった冴。
その後の冴には、絶望だけが残される…。
≪完≫