冴と海:破滅への道
敵に真っ向から敗れ捕らえられ、自分を人質に捕らえた海を、今度は人質に取られ屈服させられた。
何とも酷過ぎる状況に、冴は顔を歪ませる。
と、ドアから3人の人影が現れる。
それを見た冴は、驚きに目を見開いた。
それは、A、B、そして隆だった。
16歳の女の子にはつらすぎるこの異常すぎる状況下で、冴は冷静な考えができなかったが、違和感は感じていた。
3人を見て、さっきから感じていた違和感を思い出した。
そもそも、海を捕らえようとした隆は、私怨で冴と海を狙っていたはずだ。
それが、いつのまに自分たちはオルグの手に落ちていたのだ。
その矛盾の違和感、、まさか、と恐ろしい結論に達する。
そんな冴に感づいたツエツエが、冴のきれいな長い黒髪を梳かす様に撫で、サラサラな感触を満喫しながら、怪しく微笑んで話す。
ツ「こいつらは私らと手を組んだのさ。こいつは、私怨でガオブルーを狙っていた。だから、我々は手を貸すことにしたのさ。ガオブルーを苦しめ捕らえるために、ガールフレンドのガオホワイトを狙わせた。こいつらを洗脳して、心を邪悪にして潜在能力を引き出してやった。我々にしちゃ、ガオレンジャー二人を捕らえられる絶好の機会だからねえ。」
冴「そ、、そんな…」
ひどい話だった、、
元々隆にしてみれば、ちょっと懲らしめてやろう、と言う程度の思いだったのかもしれない。
カラオケで出会った時の隆は、やはりどう考えても極悪人には見えなかったのだ。
そんな隆の僅かな心の闇につけ込み、わざわざ洗脳して強化して、凶悪な犯罪者に仕立て上げた。
そして、オルグの代わりに自分たちを嬲り捕らえる、オルグたちの手を汚さずに…。
冴はブルブルと体が震える。
恐怖もあるが、何よりもオルグたちの卑劣な行為に対する怒りにだ。
ツ「ガオレンジャーの年少二人を、見事捕まえられた、てわけよ。けど驚いたわ、お前たち付き合っていたんだねえ。おかげでお互いを盾に、極上の甚振りができたよ。ふふっ」
冴(くっ、、あたし達の想いを利用して…っ!!)
さらに屈辱に顔を歪ませる冴。
そんな冴を満足げに眺めながら、黒髪を梳く手を止め、ツエツエは得意げに言う。
ヤ「さて、大人しく言うことを聞きなよ、可愛い奴隷ちゃん?」
奴隷、、何とも屈辱的な呼び名を突きつけられてしまった。
だが、海を人質にされている。
冴「っ…分かりました。」
悔しさに唇をかみ締めながら、もどかしくも丁寧に返事した。
ツ「さて、縛られっぱなしで苦しかろう? 縄を解いてやるよ。」
冴「え…。」
意外な展開に、冴は狐に摘まれた思いだった。
そんな冴の後ろにツエツエは回りこみ、冴の華奢な体にきつく食い込むロープを解いた。
冴の体は完全に自由になった。
困惑する冴の表情を愉しむように、ツエツエは冴の顔を、輪郭に沿って撫で回した。
冴「っ…」
顔中、特に首元を撫で上げられる感触に、冴はブルブルと震えながら耐える。
体は自由になったが、A、B、隆、そしてツエツエに取り囲まれ、海を人質に取られた状況では、どう考えても逃げ出すことはできない。
口惜しくも大人しくする冴。
すると、隆が冴に近づく。
カラオケで人懐っこく自分に話し掛けてくれた、暖かかった隆が、今自分を甚振りに迫る、、
その目は冷徹で、また好奇さも混じっていて、冴は本能的な怯えを隠せない。
隆「服を脱げ。」
そう一言命令した。
冴「!? …いっ、いやよっ! あたしをどうするつもりなのよ!?」
思わぬ命令に、反射的に身を庇い後ずさり、そう拒否してしまう。
思い切り嫌がる冴の反応を愉しみながらツエツエは、
ツ「おやおや、さっきの事、もう忘れたのかい? 頭の悪いお嬢ちゃんねえ。」
冴「くっ…」
そう、海を人質に取られている、命令には逆らえない。
だが女性として残酷な命令をされ、反射的に嫌悪の声を上げてしまったのだ。
戸惑う冴に、隆はナイフを持って近づく。
ナイフを隆を見て立ち尽くす冴を見下ろしながら、隆はナイフを冴の喉元に突きつけ、後ろに回りこんだ。
冴「あっ…!」
そして膝カックンし、その場に膝まづかせた。
弱々しくペタンと膝を落とされ、困惑する冴の顔にナイフを突きつけ、動きを止めさせる。
目の前のナイフに冴は呼吸が震える。
そして隆は、冴のシャツの後ろの首回りを軽く摘んだかと思ったら、
隆「動くなよ。」
そう一言脅した後、なんとナイフで首回りから下に向かい、少しずつシャツを切り裂き始めたのだ。
冴「やあ…っ!!」
ツ「大人しくしい。」
思わぬ行為に、冴は悲鳴を上げ体を強張らせてしまうが、タイミング良くツエツエが冴を脅しつけ、動きを止めさせた。
身をガクガクと震わせながら身動きを抑える冴のシャツをゆっくり切り裂き、同時に背中をツツーッと撫でるナイフの感触。
少しでももがいたら、ナイフが突き刺さる気がして怖かった。
だが隆は非常に器用に、ナイフで肌を傷付けない様に撫でながらシャツを切り裂いた。
袖も切り、真っ二つになったシャツを、隆はナイフのみで彼女の体から引き剥がした。
彼女の肌にナイフを当てがい撫でながら。
その感触に、冴は身動きを取ろうにも取れず、身を僅かに痙攣させる。
先日ナイフを深く突き刺されたクマのぬいぐるみを思い出した。
ストーカーの隆の残虐さを考えれば、下手な抵抗すれば、容赦なく自分にナイフを突き刺すだろう。
そして、冴の上半身が白のブラジャーのみとなった。
細身の体に二つの浅い盛り上がりの乳房、、
まだ幼児体型だが大人の片鱗も見せる体の丸みと切なげな表情は、隆の加虐心を煽るには十分だった。
冴「ぃ…っ!」
隆はそのナイフを彼女の顎筋に当てがい、つ、と顎をしゃくった。
すると、隆はそのナイフを彼女の肌に這わせながら動かす。
首筋、肩、背中、脇腹、、そしてスカートのホックに当てがわれた。
今度はスカートを脱がせる気なのは明らかだった。
嫌悪に顔を歪める冴だが、どうすることもできない。
と、隆はもう片手で後ろから冴の背中をドンッと押した。
冴「あっ!」
思わず手を突き四つんばいになった状態のまま隆は押さえる。
戸惑う冴のスカートのホックにナイフを当て、ゆっくりと切り裂く。
冴「ふっ、、うぅ…!」
お尻に当てられ撫でられるナイフの感触が恐ろしい。
そして隆はとうとうスカートをも真っ二つにした。
お尻に引っかかるスカートを、ナイフで引き剥がした。
冴「!!(そ、、そんな。。)」
冴の体を覆うのは、シンプルな白い下着のみとなった。
すると今度はAとBが近づく。
その手には、ロープが握られていた。
冴「な…っ!?」
また縛り上げる気なのだ。
思わぬ事に、冴は命令も忘れて身を引こうとしたが、ナイフをピタリと顔に突きつけられ、身を凍らせる。
隆「動くなと言ったろ。大人しく縛られるんだ、冴ちゃん。」
頬をナイフでピタピタと撫でられ、脅される。
ペチャンと床に座る冴は、自分に迫るA・Bに嫌悪に顔を歪ませながらも、大人しくロープを受け入れるしかない。
AとBは嬉々として彼女を後ろ手に捻り上げ、痛がる彼女を後ろ手に縛り上げ、胸縄と脇の割縄をきつく施した。
さらに今度は足首・太ももも割縄補強付きでしっかり縛り上げ、動けなくなった彼女をその場に突き倒した。
冴「っ…!」
縛られた冴は受身も取れずに横たわらせられた。
ツ「これでやっと私の目的は達せた。」
冴「!?」
冴の上からツエツエは満足そうに言葉を続ける。
ツ「くく、私の狙いはガオブルーじゃなく、あくまでホワイト、お前さ。ブルーは、お前を人質に、ついでに捕らえればそれでいい、と言う程度さ。」
驚きに目を見開く冴。
そんな冴を見下ろし邪悪な視線を投げかけながらツエツエは、
ツ「やっと獲物を私の手中に収めたよ、大河冴ちゃん。」
冴「そんな、、そんな…(最初から、あたしが狙いだった、なんて…、じゃあ、海は、とばっちりを受けてあんな、、ひどい…。)」
涙を浮かべる冴を、4人は満喫する。
隆「いい格好だ。」
厳重なロープが食い込む、シミ一つ無いきめ細やかで瑞々しい彼女の生肌。
4人は満足げに、縛られた下着姿の冴を見下ろし眺め、冴の羞恥を煽る。
顔を染め悔しがる冴を、隆はひょいと腕に抱く。
困惑する冴をいつの間にかあった台の上に寝かせ、うつ伏せにした。
台の上には長いロープが2本、天井のフックを通してダランと垂れ下がっていた。
ここに固定する気なのだと冴は感づき怯える。
が、彼らの縛りは冴の想像を絶した。
冴「うっ、、く、ふぅ…っ!」
自由な口から苦しげな呻き声を上げる冴。
冴はうつ伏せの状態で手足を縛られ、さらには天井から伸びたロープ2本で、その場に固定されていた。
1本を彼女の足首に括り、もう1本を胸縄の背中に括っていた。
彼女は天井のロープに引っ張られ、えびぞりの状態を強制されていたのだ。
もう1時間は経っただろうか。
彼女の体は窮屈な体勢のためブルブル震え、脂汗が滲む。
表情は何とも痛々しかった。
ツ「気分はどうだい? 子猫ちゃん。」
ツエツエと男3人が入ってきた。
目を向けた瞬間、冴は驚きに目を見開いた。
何と3人は、海を抱え連行してきたのだ。
この1時間でさらに酷い暴行を受けたのか、写真以上に何とも痛々しいボロボロの傷だらけで、意識は朦朧だった。
思わぬ光景に、冴は悲鳴を上げて海を呼ぶ。
冴「いやぁっ、海!!」
海「さ、、冴…」
あまりのダメージのため、海は言葉も途切れ途切れだった。
冴(ひ、、ひどい…、あたしのせいで…)
しわくちゃな顔で海を見つめ、涙を浮かべる。
そんな冴の表情を見て、海は何とかなだめようと。
海「冴、、大丈夫だ、俺は…。だから、心配するな、ぐふぅっ!!」
いきなりAが思い切り、海の鳩尾に強烈な蹴りを浴びせた。
ダメージに悲痛な呻き声を出す口から、血を吐き出す。
冴「海! やめてえ!!」
悲痛な声を上げる冴に、ツエツエがナイフを持って近づく。
海を求めてもがく冴の体にナイフを突きつける。
冴「うっ…」
下着姿のためナイフの刃が直接彼女の柔肌に当てられ、リアルな感触に冴は竦み上がる。
ツ「大人しくしい。」
海に下着の緊縛姿を見られ、とても恥ずかしいが、それ以上に突き付けられたナイフに怯える。
ツエツエの残酷さを見れば、下手に逆らったら容赦なくナイフを突き刺してくるだろう。
3人の男は海を無理やり冴のすぐ近くまで引きずる。
ツエツエは海に見せ付けるように、恐怖に竦む冴のブラに包まれた乳房に、ナイフの腹を押し付ける。
冴「ひっ、、ぃ…!」
プニッ、とナイフに押され変形する弾力のある小さい乳房。
ツ「まだまだ小さいねえ。」
自分の乳房のことだ、、冴は顔をカーッと赤らめる。
ツエツエはもう片手で冴の後頭部の髪を掴み、うつ伏せの顔を引っ張り上げた。
冴「いだぃっ! ひぐ…っ」
そのままナイフを下の脇腹にツツーッと這わせる。
冴の悲痛な表情が良く見え、嘲笑して眺める3人の男と悔しがる海。
自分のせいで、大事な可愛い冴が捕まりいやらしい目に遭ってしまっているのだ。
せめて海はなるべく息を潜め、目を逸らし、敵と冴の意識から自分を外した。
下手に騒げば、こいつらはさらに嬉々として冴に対しいやらしい辱めを展開するだろう。
自分への脅迫と暴行をどんどんエスカレートしたように。
助けてやりたい思いでいっぱいながらも、耐えるしかないのだ。
だがそんな海をあざ笑うかのように、ツエツエはナイフを彼女の瑞々しい柔肌に這わせながらねちっこく囁く。
ツ「どうだいお嬢ちゃん? 大切なブルー君の目の前で、いやらしい目に遭って見られることは、、ブルー君もよおく見ているよ。」
冴・海「!!!」
引っ張り上げられた冴の顔を覗き込み、恥辱いっぱいに顔を真っ赤にするその表情を堪能する。
ナイフを腰に這わせながら。
ツ「愚かだねえ、お嬢ちゃんもブルーの坊やも。馬鹿みたいにお互いを想い合って、挙句の果てに惨めに捕まって…。若いカップルは愚かなものよ。まあ、真剣に想い合っている姿は見ていて実に清々しかったけどねえ。」
その言葉を聞いて、海のそばにいた隆が怪訝な表情をしていた事を、誰も気付かない…。
冴は引っ張り上げられた不自由な顔で、横目でツエツエを睨む、せめてもの抵抗だ。
だがそんな表情にむしろ嬉々としてツエツエは冴をいたぶる。
冴「ひっ!」
ナイフがとうとう、冴の下着に覆われたお尻に当てられた。
丸みを帯びた若いお尻を下着越しに撫でられ、ピタピタ、と軽く叩かれる。
彼女の羞恥を煽るように。
今度はお尻の溝を刃で撫でられ軽くたたかれる、あまりの屈辱だった。
冴(いやっ、、こんなの、もういやだっ! 誰か、、助けてぇ!)
ピタ、ピタ、、ピタピタ、、
お尻をナイフでそっとたたかれ、顔を染め涙を流す冴のその様を、海はただ見ているしかなかった。
海(くそっ、、何てひでえ事を。。ごめん冴、、俺、もう動けねえんだ…、ごめんな、守ってやれなくて…。)
ツエツエは、お尻を愛撫しながらもう一方の手を髪から離し、今度はブラに覆われた乳房を握ってきた。
ギュウッ
冴「うぎゃ!!、、ぁ、あぁっ…!」
髪を解放され力無く項垂れるが、その刺激に、またも顔を反らせてしまう。
悲鳴を上げようとしたところでお尻に当てられたナイフが強く押し付けられた。
ショーツ越しにお尻の柔肌に深く食い込む、ナイフの固い感触、、
今にも切られそうな刺されそうな恐怖に、冴は身を固まらせ、悲痛な呻き声を漏らした。
冴の乳房をニギニギと容赦なく握り揉み、発展途上の乳房に指が食い込み変形する。
しかも5本の指もあざとく駆使し、乳房を突いたり撫でたり擦ったりする。
もはや痛くておぞましくて仕方なかった。
そんな冴の苦痛の表情を見たツエツエは、お尻にナイフを当て胸を揉んだまま、冴の顔にその顔をそっと近づけ、
冴「ひやぁ…っ!!」
盛大に舌で彼女の頬を舐め上げたのだ。
可愛い悲鳴を上げ、嫌悪に顔を逸らす冴。
だがさらにツエツエは、彼女の顔を追いかけ、唇・舌・吐息を駆使して冴の首や顔をいたぶる。
お尻、乳房、そして首から上。
冴「やっ!、あふっ、うぅっ、、、やだっ、、あっ!、やめっ、ぁ、、てよおっ…!」
そばにいる海に心配掛けたくない、悲痛な姿を見せたくない。
そう思い、彼女はツエツエの愛撫に精一杯辛抱しようとした。
しかし、女の壺を熟知した悪女の執拗な責めは、幼い彼女の辛抱の許容範囲を遥かに超えていた。
さらに、皮肉にもその辛抱が、悪女の責めに対し少女の体を敏感にしてしまっていたのだ。
急所である3点を同時にいやらしく執拗に責められ、それに対し涙を流し悲鳴を上げ嫌がり続ける冴。
海(ちくしょう…ちくしょうっ、、ちくしょおっ!!!)
そんな冴の苦痛を目の前で見せ付けられている海は、悔しくて仕方が無い。
海にとってももはや拷問のようなこの状況を必死に耐えるためにギリィッ、と口を血が出るほど噛み締める。
そんな海の視線を感じた冴は、この蹂躙に対し逃れる事も止める事もできずに、ただ大人しく受け入れて耐えるしかないのだ。
もはや16歳の少女の繊細な心は打ち砕かれ、冴は嗚咽が止まらなくなった。
ツ「もっと、、もっと鳴きなさい! 可愛い子猫ちゃんっ♪」
そんな冴を、ツエツエはさらに嬉々としてねちっこく甚振っていった。
海に見せ付けながら…。
冴「きゃっ!」
ガシャンッ、ガチャリッ。
一通り冴を甚振り尽くしたツエツエたちは、下着姿のままの冴とボロボロの海を、このビルの一室に押し込み閉じ込めた。
しっかり施錠され、窓一つ無い殺風景な、狭く暗い部屋に監禁されてしまった二人。
散々ひどい辱めを受けた冴は、泣き出したくてしょうがない気分だったが、それ以上にボロボロの海が心配だった。
冴「海!」
拘束を解かれた冴は、すぐさま隣で力無く横たわる海を抱き上げた。
海「うっ…!」
痛みに呻く海、どうやら骨が折れているようだ。
全身内出血で、顔は別人のように腫れ上がり、全身の衣服は血だらけだった。
冴「酷い、、酷すぎるよ…。」
よほどの拷問を受けたのだろう、残虐な暴行により、もはや自力で動く事もできず、冴の腕の中で顔をダランとしていた。
冴「ごめん、、ごめんね海…。あたしのせいで、、あたしの…~~」
抱き寄せた海の顔に顔を埋め、泣きじゃくる冴。
自分のせいで大切な海がいたぶられた事、さらには長きに及ぶ自分への辱め。
辛抱が一気にはじけ、子供のように泣きじゃくる、その嗚咽は何とも哀れだった。
…しばらくして泣き止んだ冴は、胸に横たわる海に話しかける。
すると突然、海は「このままでいてくれ」と言った。
冴に抱き寄せられ、上半身を冴の胸に預けた状態だ。
頭は、冴のブラに包まれた柔らかい胸に当てられている。
冴(あっ、、やだっ! あたしったら、、こんな…)
考えれてみれば恥ずかしい体勢だった事に冴は今更気付き、顔を染める。
けど、そんな冴の柔肌の感触と温もり、そしてどこか心地いい香りに、海は心地良さそうだった。
母性本能にくすぐられた冴は、言うとおりにそのまま海を抱き寄せた。
目の前の海が愛しい。
何とかして助けたかった。
しかしこの狭い部屋は窓も無く、扉を施錠されている。
扉は見ただけで重く頑丈そうで、非力な少女の力では決してブチ破れないだろう。。
ため息をつき、ふと辺りを見渡すと、床に針金が落ちていた。
冴「あ…!」
これなら、ドアの施錠を開けることができるかもしれない。
結果、脱出することができるかも。
希望を取り戻した冴は、海に一言言って、優しく彼の体をそっと横たわらせた。
立ち上がり針金を手に取る。
これを見て、キュッと口を結び、決意の眼差しでドアに向かった。
ドアの向こうには、、人の気配がいない、見張りはいないのだ。
冴「よし、、これなら!」
針金を鍵に当てがい、不慣れな手つきでガチャガチャといじる。
…そしてどのくらい経ったろうか、まだ鍵は開かない。
いつしか希望に輝く表情は絶望に染まる。
それでも縋るように涙を浮かべながら健気にその作業を続ける冴。
冴(お願い、、開いて!)
そしてとうとう、鍵が開く音が。
冴「やった! 海、これで逃げられるわ!」
嬉しそうに海に言う。
ドアを恐る恐る開き、外を見ると、そこには誰もいなかった。
施錠をしたことに安心したのだろうか、見張りもついていなかった。
それを理解した冴はホッと肩を撫で下ろし、急いで海に駆け寄り、海を起こす。
冴「海、起きて! 海お願い!」
けど海のダメージは凄まじいもので、もはや海は一人で動くこともできなかった。
酷過ぎるまでの海への暴行を思い知り、涙が溢れそうになるのを懸命に抑える。
冴は、海に肩を貸し、震える体に思い切り力を込めて、何とか立たせられた。
しかし、海は歩く事はおろか、立つ事も踏ん張る事もできない。
それほど全身重傷を負ってしまっているのだ。
そんな海に肩を貸す小柄な少女は、今にも倒れそうなほど頼りない足取りだ。
それでも冴は力を込め、フラフラと歩く。
だが少女の小柄で細い体はすぐにふらつき、中々前に進めなかった。
それでも冴は健気に海と一緒に部屋を脱出した。
今度はビルを出ないと、、いずれやつらは戻ってくる。
G-フォンを二人とも奪われ、助けを呼ぶ手段も無い。
そのためにも、ここから少しでも遠くに逃げないと。
冴は歯を食いしばって、自分よりもずっと大きくて重い海の体を支え、何とか歩いていく。
すぐに汗が出てきて、疲れてくる。
でも諦めない、と瞳に芯を込め、前を見て歩く。
そんなつらそうな冴を見て、海は自分が不甲斐無くなる。
自分さえいなければ、冴だけは逃げられる、、
海「さ、、冴。俺を置いて、一人で逃げろ。」
冴「!? なっ、、何言ってんのよ!?」
海「早く、、逃げるんだ! お、お前だけでも、、助かって、くれ…!」
ボロボロで喋る事さえままならない海は、痛みを堪えて懸命にに冴に諭す。
本当は自分も再び捕まり拷問を受けるのがとても怖くて、助かりたい。
しかしそれ以上に、せめて冴だけでも助けたかった。。
その気持ちは当然冴も理解している。
一瞬沈黙したが、すぐに気丈な顔で海に言う。
冴「…ぃや、いやっ、、ダメ! 海を置いて一人でなんて、逃げられない!」
悲痛な顔で拒絶する冴。
こんな時に我儘な聞かん坊になる冴に、海は怒って言い聞かせる。
海「ば、馬鹿野郎っ、、死にてえのか!? 頼む、、言うことを、聞くんだ…! な? いい子だから…」
冴「いやだっ!! いい子じゃないもんっ! 一緒に逃げるの! …お願いだから、諦めないで、、。」
彼女のクリッとした瞳から涙の雫が流れる。
海「!? 冴、お前…。」
駄々をこねて叫んでいると思ったら、急に切ない泣き顔に変わり縋るように見つめてくる。
凄い感情の変り様に海をドギマギさせる冴は、泣きべそをかきながらも再び歩き始め海を運ぶ。
再び捕まるかもしれないこの状況、、そうなればさらに陵辱を味あわされ、二度と戻れない…。
彼女はこんな地獄のような状況下でも尚、海の事をひたすら一途に想い助けようと奮闘する。
大切な海を助けたい一心で、身の丈以上の必死の努力をしようとする。
何て芯の強い、優しい子なのだろう、、と海は思った。
こんな冴を見て海は、自分も諦めてはいけない、と強く思い改めた。
もう海は何も言わなかった…。
この時、海は妹のように思っていた冴に対する認識を改めた。
まだ子供だとばかり思っていたが、、
かすかだった冴への愛しさは、この時冴の海への愛と同等の、本物へと成長した。
囚えられ、だが見事脱出する一途な若いふたりは、健気に逃亡していく。
廊下を進み階段を下り、やっと冴たちはビルを脱出できた。
久しぶりの屋外。
もう夕方近くだろうか。
涼しげな秋の風が剥き出しの体を撫で、下着姿であることをまざまざと認識させられる。
屋外を下着姿でいる、、年頃の女の子には耐え難い羞恥だ。
冴はフルフルと体が震え、恥ずかしげな顔をするが、もはやそれどころではなかった。
もう捕まる訳にはいかないのだ。
冴は何とかふらつく体を堪え羞恥に耐え、海の体を支え、ビルから遠くに行く。
辺りは、港の倉庫群だった。
今はほとんど使われてはいない。
人気は無く、かなり歩かないと、助けは呼べないと理解した。
それでも何とか倉庫群を歩いていくが、とうとう疲れがピークに達し、足が折れてしまった。
冴「あっ!」
海「ぐあっ! うっ…」
転ぶ冴と共に倒れこむ海。
その衝撃だけで重傷の海は、悲痛な顔で呻く。
冴「ご、ごめん! 海、大丈夫!?」
海の具合を心配そうに見るが、海は何でもないというように微笑を見せる。
そんな海の優しさと自分の情けなさに涙ぐむ。
何とか再び海に肩を貸し、とりあえず倉庫の陰に隠れて休憩することにした。
海の体を優しく下ろしてやり、その隣に自分もへたり込む。
冴「はあっ、、はあ、、はあ…」
疲弊しきり深く息をつく冴は、自分の非力さが恨めしかった。
せっかく監禁場所から脱出できたのに、自分の力では海とその場からほとんど離れられず、へたってしまう。
自分が絶体絶命のピンチだった時、そうアベルに捕まった刑務所での事。
海は縛られ動けない自分を軽々とお姫様抱っこし、駆け足で敵の手から助けてくれた。
ヤクザに捕まった時も、ちゃんと助けてくれた。
なのに自分は、海を安全な場所まで運ぶこともできない。
だが、それは女の子であるため、決定的な体格・力の差なのでどうしようもない。
むしろ、力の弱い小柄な少女が、疲労が蓄積し弱りきった体で、青年を抱えビルを出てここまで移動できた事は、凄いことなのだ。
それだけ一途に健気に、海を守り逃げたかったのだろう。
しかし心優しく真っ直ぐな冴は、自責の念に駆られ、涙ぐんでしまう。
そんな冴を見て、重傷の海は、
海「ごめんな、冴…。」
冴「う、ううんっ。」
とっさに冴は涙を拭き、海の方にチョコンと向き、優しく諭す。
冴「もうそんな事言わないで、、海が居なきゃあたし、逃げ切る意味なんて無いんだから。」
海「冴…」
間接的にだが告白に近い言葉だった。
それを聞いた海は驚き頬を染める。
一方冴も、自分が言った言葉を今更ながら恥ずかしく感じてしまい、戸惑い顔を赤らめてしまう。
冴にしてみればただ「海に諦めてほしくない」「海を何としても助けたい」という思いを素直に表現しただけなのだろう。
だがその言葉が間接的な告白に近い事だと、少しして気付き、だんだんと顔が真っ赤っかになり、俯いてしまう。
そんなウブな反応をする冴、またこんな状況でも海の心配をして決して見捨てようとしない冴。
海はそんな冴がどんどん愛しくなる、と共に自分に対する罪悪感が膨らんでくる。
自分が冴の重りとなって地獄からの冴の逃亡を妨げている事、、
さらには怯え苦しむ冴を助けて守ってやることができない事、、
目の前で、冴は人として女としてあんな酷い陵辱を受けて苦しみ、、
なのに自分は何もできなかった。。
海の表情は何とも居た堪れなかった。
冴は横座りの体勢のまま、そんな様子で力無く倉庫の壁にもたれる海の体を引き寄せ、胸を貸してやった。
海「…サンキュ」
冴「ううん、、。大丈夫、絶対あたしが守るから。」
愛しい海の体を抱き寄せ、気丈に微笑み答える。
少女のきめ細やかで瑞々しい、玉の柔肌に赤々と残った痛々しいロープの跡。
手首、足首、腕、胸の上下、太もも、さまざまな箇所にくっきりと、きつく縛られた跡が残っていた。
口にも、うっすらとテープの跡が残っていた。
目元は散々泣きはらした跡がよく残っていた、、よほど泣きじゃくったのだろう。
そして、年頃の女の子には、特に人一倍恥ずかしがり屋の冴には耐え難いに決まってる、屋外での下着姿。
それを見て海は、さらに自分が不甲斐無い悔しい思いになった。
結局自分は、大切な女の子一人守る事もできないのか、、と。
そんな居た堪れない様子に気付いた冴は、慰めるように海を抱きしめ頭を撫でる。
どこまでも優しい子なのだろう、、と感激する海だった。
冴も改めて自分の体中の痛々しいロープの跡を見て、その惨めさにさらに涙が染み出てくる。
涼しい秋の風が少女の剥き出しの体を撫で、肌寒さと羞恥に震える。
けど、もたれ掛かる少年の体が温かく、少女は少年を愛しげにギュウッと抱きしめる。
これからどうしようか、と考えた。
と、いきなり倉庫群のスピーカーから音が聞こえた。
ツ『ガオホワイト! ガオホワイト、聞こえるかしら? どうせどこかの倉庫にいるんでしょう。』
冴「ひっ…!」
何とスピーカーからツエツエの声が、、この声に冴はビクンと肩をそびえ、恐れおののいた。
逃げた事を気付かれ、そればかりか脱出場所まで知られてしまっていた。
冴は恐怖で、もたれかかる海の体を縋る様にギュウッと抱きしめる。
海もこの事態に気付き、怪訝な表情をしていた。
ツ『お前はもう逃げられないんだよ、大人しく出てきなさい。さもないと、オルグの軍隊を出して、徹底的に探して痛めつけてやるわよ。』
冴・海「!!?」
ツエツエの思わぬ脅迫行為に驚き顔を引きつらせる二人。
特に冴は、怯えで体の震えが止まらない。
このままじゃ、、どうしようかと考えていた時、またツエツエの声が。
ツ『逃げようとしても無駄よ、お嬢ちゃん。早く出てきなさい。それに、お前が大人しく投降すれば、ガオブルーの命は助けてやろうじゃないの。』
冴「え…?」
思わぬ交換条件を出され、戸惑ってしまう。
冴(あたしが捕まれば、、海は助かる…?)
海は奴らの魂胆を冷静に看破し、卑劣さに怒りがこみ上げる。
だが交換条件に引き付けられていく冴を感じ取り、慌てて途切れ途切れに声を出し諭す。
海「だ、、騙されるな冴。あんなの、信じられるか。お前を捕まえた、すぐ後に、俺も捕まえる気なんだ。」
海の言葉に、さらに困惑する冴。
16歳の冴には、この状況下で本当に冷静な判断などできず、ただ「助かりたい」or「助けたい」という、切実な思いが強まる。
「海を助けたい」その思いがやはり強く心を支配する。
そして止めを刺すように、スピーカーから。
ツ『言っただろう? 私の狙いはあくまでガオホワイトだと。お前さえ手に入れば、正直ガオブルーの方はどうでもいいんだしね。手を出さないと約束しようじゃないか。女同士の約束よ。』
もうどうしようもないのだ、自分の力だけでは海と一緒に逃げられない。
ならば、、不本意ながらも、自分が敵に捕まって、海から手を引かせるしかない。
それが罠かもしれなくても、海の助かるかもしれない確率が少しでもある賭けに出よう。
ツエツエの言葉に、冴は決意の芯の篭った眼差しになる。
それから胸の中の海を優しく見つめる。。
それを感じた海は、慌てて諭そうと、
海「冴、騙されるなっ、、ん…」
と、冴の顔が迫り、彼女の唇が海の唇にチョン、と触れた。
淡いキスだった。
驚きに目を見開き、顔が赤くなる海、呆然となる。
一方冴も恥ずかしげに顔を染め、けど嬉しそうに微笑む。
冴「初めてだったの。あたし、ファーストキスを好きな人とできてよかった。」
海「…何、、何言ってんだよ、お前。」
恐る恐る聞き返す海。
(まさかこいつ、一人で捕まりに行く気じゃ。)と思ってしまう。
冴「素敵なお嫁さんになるのが夢だったけど、無理みたい。だけど、海と出会えてホントによかった…大好きだよ。」
海を愛おしく抱きしめ、そして海から手を離す。
冴「バイバイ、、海だけは、何とか助かってね…」
そう言い残し、その場から離れ歩く冴。
海「い、、行くな冴!!」
全身を刺すような痛みをこらえ、一人で敵に投降しに行く冴に必死に叫んで呼び止める。
けど冴は振り向きもせず、その場から去っていった。
…下着姿の哀れな格好のまま、冴はツエツエと向き合った。
周りにはオルグ兵やA、B、隆が二人を遠めに囲んでいた。
秋のひんやりとした風が剥き出しの体を撫で、冴は体を小刻みに震えさせる。
その震えはただ寒いからだけではないだろう。
下着姿を大勢の敵に眺められている羞恥からの震え。
散々自分を嬲り者にした敵の中にいて、そして再び捕まり残虐な目に遭う恐怖に怯える震え。
それが分かっていながらも、冴は自分から投降した。
愛しい海を守るため…。
だが投降しに来た冴を、周りの敵は勿論ツエツエも捕獲しようとせず、ただ間合いの外でジイッと下着姿の冴を眺めていた。
あからさまに自分を観察するツエツエの舐める様な視線が気持ち悪い。
どういうつもりか分からない、、だが確実に捕まって再び酷い目に遭うだろう。
冴は迫りくる恐怖と視姦の羞恥に身を震わせる。
震えを抑えるため、全身に力を込め、拳を握り、顔は強張っていた。
だがそんな冴の恐怖と羞恥をじわりじわりと長引かせるかのように、敵たちはただ黙って彼女を視姦し続けた。
そんないやらしい敵たちに恥辱に憤りながらも、冴は辛抱して立ち尽くす。
そして、冴の哀れな姿を眺めていたツエツエが喋る。
ツ「ふふふっ、何とも情けない格好だねえ。」
余裕の罵りに冴の表情がさらに強張り、唇を噛みながらも辛抱して話す。
冴「っ…!(あんたたちが、無理やりひん剥いたクセにっ!)…約束よ、ブルーには手を出さないって。」
だがツエツエは答えず、怪しく微笑んである方向に指をさした。
そこには、トランシーバーで応じるオルグ兵の姿が。
兵「了解。ツエツエ様、ガオブルーを捕獲したようです。」
冴「なっ、、や、約束が違うじゃない!」
ツ「さあて、何のことかしらねえ。」
笑いながらとぼけてみせるツエツエ。
冴「とぼけないでよ! あたしが大人しく捕まれば、ブルーには手を出さないって言ったじゃない!!」
悲痛に叫ぶ冴を、ツエツエは冷酷に見据え、淡々と魂胆を説明する。
ツ「馬鹿な娘だ、本当に。敵の交換条件をまんまと信じるとはね。お前を誘き出し、出てきたところからガオブルーの場所を特定するため。全部、二人を捕らえるために決まってるじゃないの。」
冴「くっ、、何て汚いの…っ」
ツ「オホホホッ、お前が馬鹿なだけだよ。」
何て事だ、海を捕らえられてしまった。
さっきまでの沈黙は、自分を羞恥に苦しめるためだけでなく、海が見つかり捕獲されるのを待っていたためだったのだ。
そうとも知らず自分は、海が捕まるまでのうのうと敵の目の保養をさせられ、そして海を守る事ができなかった。
悔しさに唇を噛む。
こうなったらもはや大人しく捕らえられるわけにはいかない。
何とか逃げ出し、海を助け出さないと。
冴はツエツエに向かって構える。
そんな姿にツエツエは思わず噴き出し、
ツ「あははっ! そんなか弱い姿で戦うつもりかい? そんなはしたない、みっともない格好で構えて…くっくっくっ。」
冴「くっ…!」
罵られ、屈辱に顔を歪ませるが、辛抱して構える。
確かに、変身していない生身の、しかも今まで散々いたぶられ疲弊しきった体で、あのツエツエとまともに戦えるはずなど無かった。
けど海を助けたい、その思いだけで、無謀な挑戦に出る。
下着姿でツエツエに向かい構える。
鼻で笑うツエツエは、構えもせず、懐から何かを探る。
ツ「私はねぇ、最終的にお前をオルグの大幹部様にプレゼントしてやるつもりなのさ。」
冴「…!」
その台詞に、行動に警戒しながら、冴は構え続ける。
すると出てきたのは、リボンの束だった。
銀色に輝く図太いリボンを見て、冴は(何だろう?)と怪訝な表情をする。
ツエツエは冴の、分からないけど不安という表情を堪能しながら、リボンの先端を出し摘み、リボンを眺めて、
ツ「これだけあれば充分よねぇ。」
リボンと冴に視線を往復し、冴にも聞こえるような独り言を言った。
冴「な、、何なの…?」
目的が分からず、構えながらも不安がり、つい後ずさってしまう。
さらにツエツエは、そんな冴の不安を煽るようにリボンの先端をさらに出し両手で掴むと、思い切り引っ張った。
冴「!?」
すると、それはゴム製なのか、少し伸びたが、強い力で収縮しようとしているのが傍目にも分かる。
ギリ、、ギリギリッ、、
鈍い音を出す図太いリボンは、ツエツエの強い力にも、千切れる気配が無い。
強力なゴムのリボンなのだと、まざまざと見せ付けられ思い知り驚く冴。
ツ「フウッ、、どうだい? とても丈夫だろう。お嬢ちゃん程度のか弱い力じゃ、決して千切れまいて。」
冴「っ…!!?」
急激に恐怖で竦み上がり強張る冴。
その言葉で冴はやっと、このリボンが自分を縛り上げる道具なのだと理解し、恐れおののいた。
自分を拘束し、オルグの大幹部に差し出す、つまりプレゼントする気なのだ。
そのリボンを冴に向かい構えるツエツエ。
恐ろしい魂胆を知りガタガタと震える体を抑え、冴は注意深く構えた。
だがその表情には、かなり怯えが入っていた。
その表情をたまらなく感じたツエツエは、舌なめずりして冴にゆっくりと迫る。
冴「くっ、、」
おそらく自分にダメージを与えて弱らせたところで、リボンで縛り上げる気だろう。
そう思った冴は、ツエツエの攻撃に備え構える。
だが、そんな様子にフッと笑うツエツエは、ムンと力を込めた。
冴は何だと思ったら、図太いリボンの束が独りでに宙に舞い、シュルシュル~~ッ、と勢いよく冴に襲い掛かり周りを取り囲んだ。
冴「なっ、、あ…っ!」
リボンの思わぬ動きに冴が驚き戸惑うその隙に、、正に抵抗する暇も無く、リボンが恐ろしく素早く冴の体にグルグルと巻きつき、、
シュルルッ、シュルシュルッ、、ギリギリッ、ギュウゥッ!
冴「くああっ!!」
冴の体を厳しく締め上げた、その痛みに冴は悲痛な呻き声をあげる。
足も括られた彼女は、踏ん張ることもできずに力無く肩から地面に倒れた。
冴「うぅっ!」
リボンの縛めはとても巧妙で、素早く動いたリボンが彼女を後ろ手にまとめ括り、胸縄・腰縄も施し、そのまま太もも・膝・足首もまとめて締め、全身を縛り上げてしまった。
そして、縄尻は彼女の胸の上部できつく二重結びをし、その上からあざとくも大きなリボン結びをして装飾していた。
ギリッ、、ギリギリ、、
冴が少しでももがくたびに締め上げるリボンが鈍い音を出す。
その拘束力はとても強く、リボンは少女の体に食い込むようにきつく巻き付き、ゴムが少し伸びた状態で彼女を縛り上げた。
そのためゴムが収縮し元に戻ろうと、彼女の華奢な小さい体に容赦なくリボンが食い込み、彼女を苦しめる。
リボンを解くどころではない、苦しくてしょうがないのだ。
冴「あっ、、ぐぅ、ううっ!(くっ、苦しい…! ダメ、、動けない…!)」
冴がいくら力を込めても、リボンを引き剥がすことはおろかビクともせず、逆にリボンはどんどん彼女の体を容赦無く締め上げていくのだ。
苦しみの呻き声を上げ、地面をのたうつ冴。
そんな冴にいつの間にかそばで見下ろすツエツエが、満足げに眺めて声を掛ける。
ツ「ふふ、どうだい、拘束リボンの味は。動けまい。生ある者のように獲物に襲い掛かり、グルグル巻きに締め上げてしまうのさ。お嬢ちゃんのか弱い体じゃ、とても苦しかろうて。ふふふふふっ!」
不適に笑い、惨めに倒れる縛られた冴を見下ろす。
悔しげにツエツエを睨み、せめてもの抵抗として吼える。
冴「こっ、この悪魔! ほどいてよ!」
締め上げられる痛みを堪え、ツエツエに暴言を吐く。
それを聞いたツエツエは、さらに嬉々として、
ツ「おやおや、まだそんな生意気な口を叩けるのかい? とんだじゃじゃ馬娘だねえ。」
そして倒れている冴のそばにしゃがみこみ、冴の振り乱れたきれいな黒髪を丁寧に整えながら、いやらしく囁く。
ツ「じゃあ、そのお口も塞いでおかないと、ピッタリとね。」
冴「なっ…!」
驚く冴に、おもむろに粘着テープを取り出すツエツエ。
冴「やっ!、ん、むぅうっ…!」
ツエツエは冴が嫌がり避ける間もなく、素早い動きで粘着テープを冴の口にしっかりと貼り付け、丹念に擦り付ける。
リボンと同色の、ピッタリと口に貼り付けられるダクトテープ。
これで冴は、一切の抵抗ができず言葉も発せられなくなってしまった。
ツ「ふふふっ、声を出せまい。」
テープから浮き出る唇を撫でながら、悔しげに瞳を潤ませる冴を見つめニヤつく。
その指で今度は鼻を摘み塞いだ。
冴「っ…!!!?」
驚きに目を見開く冴。
文字通り口と鼻を塞がれた冴は、呼吸ができなくなり、必死に縛られた体で逃れようともがく。
だがやはりビクともせず、ツエツエの手から逃れられない。
そして口から呼吸をしようとモガモガしようとも、口にピッタリと貼り付いた強力な粘着テープはわずかに皺が揺れるだけで、全く剥がれる気配も無い。
少し時間が経った後、ツエツエがやっと手を離した。
冴「んふっ! フウッ、、フウッ、、」
必死に呼吸をしようと、鼻から息を吸い込む。
再びツエツエの手が迫る。
冴「んんっ!!」
恐怖と嫌悪感たっぷりに冴は顔を歪ませ、ツエツエの指を逃れようとするが、再び鼻を摘まれる。
…そんな事を何度か繰り返され甚振られ、ようやくツエツエは止めてくれた。
結局一度ももがきは効かず、ただ強力な拘束と猿轡をまざまざと思い知るだけだった。
そんな苦しそうな冴を見て、ツエツエはとんでもない魂胆を言う。
ツ「実は、お前たちを監禁した部屋に、わざとあの針金を置いたのよ。」
冴(!! な、、何? どういう事!? …まさかっ)
驚きに目を見開く冴が感づくのを見て、ツエツエはいやらしくニヤつく。
愛しげな手つきでじっくりと頬や黒髪を撫で梳きながら囁いた。
ツ「そう、わざと逃がしてやったのよ。ロープをほどいて下着姿のまま監禁したのも、動けなくなるまで坊やを甚振ったのもそう。お前に極上の苦しみを与えるため。まあ苦しめるためとは言え、下着姿で坊やを抱えて逃げるのは、ウブで非力ななお嬢ちゃんじゃできるかどうか少し心配だったけど、あんな酷い目に遭って、愛しい坊やもいたら、まず逃げるだろうと分かってたわよ。一途で、恥ずかしくて、怖くて、苦しくて、そして愚かで、、そんなお嬢ちゃんを見てて、とても愉しめたわよぉ。私にとって坊やの事は、お前を甚振るための道具…、お前を捕まえればどうでもいいと言ったのは、強ち嘘じゃなかったのよ。可哀想な坊や、お前が非力で馬鹿なばっかりに。」
冴「…」
ツエツエを目を見開いて見たまま、冴はもはや何も反応できなかった。
監禁されて怯える様、健気に葛藤する様、何とか扉を開け必死に逃げる様、海に懸命に諭す様、海との事、、
全て仕組まれ計算されたことだったのだ、そして見られていたのだ。
全てが、冴を屈辱地獄に貶めるための布石だったのだ、海まで巻き込んで…。
あまりの卑劣さに、もはや一途な希望は、絶望感に苛まれてくる。
もはや最初から敵わなかった、自分の負けは決定していたのだ。
自分のちっぽけさ非力さに、絶望感に支配されていってしまう。
今度はツエツエは、胸の上部に大きく結ばれた屈辱のリボン結びを満足げに撫で、冴の恥辱を煽る。
さらに、可愛らしいへその下の、ショーツに付いた小さなリボンも撫でる。
ツ「可愛いねえ、、リボンがよくお似合いだよ。」
冴「…っ」
そして、リボンからはみ出る剥き出しのお腹に、ヒヤリとした感触が。
冴「ふぅっ…!」
その感触に、冴がビクンと反応し怯える。
ナイフを押し当てられていた。
ピタ、、ピタ、、と彼女の肌にナイフを当てながら、ゆっくりと這わせる。
やがて、ショーツに覆われた股間に行き着いた。
冴「んぐっ…!(やだ、、何するのよ…やめてっ!)」
目を瞑り涙を浮かべて、そのいたぶりに耐える冴。
ショーツ越しに敏感な陰部とその周辺をピタピタとナイフで撫で、冴の恥辱・怯えを煽るツエツエ。
ツ「怖いかい? 怖かろう。くく、これからもっと、たっぷりと怖い目に遭わせてやるからねえ。オルグの大幹部様にプレゼントになるから、きっと生きているのが嫌になるほどの残虐な辱めや拷問を延々に受けるだろうねえ。楽しみにしてなさい。」
と、怯えて身を震わせる冴の小さい体をひょいと腕に抱き上げ、涙に濡れた屈辱・恐怖、さらには絶望まみれの表情を感慨深げに眺める。
ギリッ、、ギリギリ、、
そして止めが、ずっと冴のやわな体を容赦なく締め付けるリボン。
冴「あっ、、ぁ……」
負の感情に加え、締め付けの痛烈な痛み苦しみに耐えかね、とうとう強張っていた体の力が抜け、弱々しい表情になってガックリと、ツエツエの腕の中で気が遠くなっていく。
冴(助けて…海……)
ツ「ウフフ、、フッフッフッ、、オーッホッホッホッホッホッホッ!!」
ツエツエは計画通りに憎き冴を惨めに嬲り捕らえる事ができたことに、高笑いをする。
弱々しく腕の中で抱かれる、涙を流す冴の顔を堪能しながら、その場からアジトに連れて行こうとしたその時、
ドガアアッ
男「ぐわああっ!」
倉庫が爆発し、それに巻き込まれたオルグの仲間たちが吹っ飛んだ。
ツ「な、、何事!?」
冴「!?」
ツエツエは冴を腕に抱いたまま、この状況に驚き慌てる。
冴もいきなりの事に、失神しそうだった意識を一気に取り戻す、何が起こったのかよく分からなかった。
と、そこにはガオレンジャーがいた。
レッド・イエローの二人。
冴「んんぅっ!(みんな!)」
赤「そこまでだ、ツエツエ! ホワイトを返してもらうぞ!」
ツ「ガ、、ガオレンジャー!?」
二人は素早い動きでツエツエに迫り、瞬時に倒した。
宙に舞った冴の小柄な体を、レッドがひょいと受け取った。
イエローは他の敵たちを撃退していった。
隆も、Aも、Bも、イエローに倒された。
赤「もう大丈夫だぞ。」
レッドは強力な武器で彼女を拘束するリボンを切り、口に貼り付けられた粘着テープを丁寧に剥がしてやった。
ピリ…ビリイッ
冴「うっ…、み、、みんな…っ!」
もう助からないと思った、怖かった。
それを、仲間たちが助けてくれた。
涙を流す冴に、変身を解いたレッドが自分のジャケットを下着姿の冴に羽織らせた。
大柄なレッドのジャケットは、小柄な冴の肩から膝まで覆い、恥ずかしい下着姿を完全に隠してくれた。
秋の肌寒い中、レッドのジャケットが暖かい。
自分を大事にしてくれる気遣いが嬉しかった。
その時冴はハッとなり、慌てて仲間に向かい、
冴「ブ、ブルーは!?」
そこに、敵を全滅させたイエローが来て、
黄「大丈夫だ。もう助けてある。ブラックがついているしな。安心しろ。」
と彼女の頭を撫でて気を落ち着かせる。
冴「よ、、よかった、ぁあ~~~」
海も助かり、冴は安堵の嗚咽を漏らす。
レッドが彼女の顔を胸に埋めさせ、冴はレッドの胸の中で泣いた。
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