戦国の妖~大河冴(ガオホワイト)編~

※この物語はガオレンジャー第18話で、4人が江戸時代にタイムスリップされた時のスピンオフ、さらには私りーるの既作「冴と海」の続編、という設定の作品です。


江戸時代にタイムスリップされて追い回され、4人はバラバラにはぐれてしまった。
しかも何故かGフォンが機能しないのだ。
変身も連絡もできず、無関係な侍を攻撃することもできず、ただ逃げるしかなかった。
冴は海と一緒に町を逃げていた。
しかし侍の追跡はしつこく、二人は懸命に逃げては隠れ、見つかっては逃げるを繰り返す。
冴の走力は足腰の強い侍より遅く、体力自慢の海が冴の手を引っ張って何とか逃げ延びている。
だが自分の走力を上回るペースでずっと走ることで冴の疲労は相当な物になってしまった。
冴「はあっ、、はあっ、、はあっ・・・」
休むたびに荒く悲痛な息をつき、顔も辛そうで相当疲れていることが分かる。
海「冴、大丈夫か?」
冴「うん、、はあ、はあ、、ダイジョブだよ・・・」
健気に冴は笑みを見せるが、かなり辛そうだ。
何とか仲間と合流しなければ・・・
だがその時、
侍「居たぞー!」「捕まえろー!」
海「ちいっ!」
再び冴の手を引き、めい一杯逃げる海。
冴も一生懸命走るが、体力の差は埋められようもなく疲労は増幅し、もはやどう逃げるかの判断をする余裕は無く全て海に任せ、ただ我慢して全速力で走る。
何回かこの状態を繰り返した・・・

交通の便も何もないこの時代、侍達の走力や持久力はとても強靱で、体力自慢の海も少し参ってしまう程だ。
ましてや女の子である冴はひとたまりもない。
何とか撒いて、海は冴を休ませようと物陰に入り隠れたが、
冴「くはあっ、、はあっ、、はあっ、、、」
明らかに辛そうな息で、呼吸困難にまでなっている。
苦しそうに胸を押さえ、汗の量も半端ではない。
海は何とか冴の身体を支えて座らせ、背中をさすって呼吸を落ち着かせようとした。
海「しばらく大丈夫だ。今の内に少し休め、冴。」
冴「うん・・・」
しかしそう思ったとき、侍が傍の道ばたを走って近づいてくる。
見つからないように海は、冴の小さな身体を抱き寄せて自分の身体で隠し、物陰に隠れた。
しかし冴の激しい呼吸が聞こえてしまうかも。
すかさず海は、冴の口元に人差し指を当て、
海「しっ。冴、奴らが来る。少しの間、静かにしろ。」
それを聞いて冴は、両手で自分の口を塞ぎ、健気に息を殺した。
迫る足音に怯え、顔を海の身体に寄せ縋る。
侍が通り過ぎ、足音も遠ざかる。
海が確認する、もう居ない。
海「冴、もう大丈夫だ。」
冴「ぷはっ、、はあっ、、はあ、、はあ、、」
呼吸が乱れているときに無理に呼吸を押さえた反動だった。
そんな冴の背中をさする海。
しかし休んでばかりも居られない。
早くこの時代から抜け出さなければならない。
そのためにもまずは仲間と合流しないといけなかった。
再び冴と動き出そうと思ったその時、
侍「おい、いたぞー!」
また見つかってしまった。
海「ちい、走るぞ頑張れ!」
再び海は冴を引っ張り走る。

町から少し離れた田園地帯まで来て、何とか撒いた。
しかし冴はもう息絶え絶えで、苦しそうに胸元を掴み俯いていた。
それでも繋いだ手は健気に離さずぎゅっと握っていた。
海(これ以上は、、冴にはもう無理だ・・・)
追っ手も潰えてなく、すぐに見つかるだろう。
このままでは仲間と合流する前に、少なくとも冴は捕まってしまう。
この間にどうにかしなければ。
その時、向こうに小さな穴を見つけた。
冴と手を繋いだまま少し近づいた。
あれは洞穴だった。
ここで海はいい方法を思いついた。
海「そうだ! 冴、もう少し頑張れ。」
疲れ切った冴を引っ張り、その洞穴に着いた。
中を調べると、そこは何の危険もない自然の穴だった。
安全を確認した海は、入り口に枯れ草を覆い、冴を穴の中に入れさせた。
穴の中に冴をチョコンと座らせ、海は冴と向き合って
海「いいか冴。俺は奴らの囮になって、奴らをここから遠ざける。」
冴「そ、そんな! ダメ! 海が捕まっちゃうよ!」
呼吸が落ち着かない状態で慌てて懸命に声を上げた冴。
自分のために大切な海が囮になって捕まってしまうかもしれない、当然だ。
海「大丈夫だ。俺はまだ体力有り余ってるし、あんな奴らに追いつかれるほどヤワな男じゃないぜ!」
と、冴を安心させようと、頭を撫でて元気そうに力こぶを作って見せた。
それでも不安そうに海を見つめる冴だが、
海「いいか、仲間と合流しないと、どっちにしろこの世界から抜け出せないんだぞ。」
冴「・・・うん」
ようやく冴は納得した。
そんな冴の頭を撫でて海は、
海「よし。いいな、ここに隠れてろよ。必ず助けに戻るから!」
と真剣な目で冴に約束した。
冴はそんな海に安心して、微笑む。
冴「うん、、待ってる。約束だからね!」
と、海と指切りした。
海「もちろんだ。じゃあ、後でな。」
そう言って海は洞穴から出て、再び入り口を枯れ草で覆って、行ってしまった。
冴は海を信じて、疲れ切った身体を休めて待つことにした。
冴(大丈夫、、海なら絶対、助けに戻って来てくれる!)
その想いはとても強い絆だった。
少しその場で女の子座りでじいっとしていたとき、足音が聞こえた。
誰だろうか?侍か?しかし足音は複数ではない。
一瞬怯えたが、海かもしれないと思った。
枯れ草がどかされる。
冴は少し安心して外の方に顔を恐る恐る出す。
冴(…海、よね?)
しかしその時、入り口からニュッと腕が伸び、冴の頭に迫る。
冴「きゃっ! あ、いだいっ!」
いきなり冴の長い黒髪が掴まれ、強引に外に引っ張られて引きずり出された。
髪の毛を握る手を必死に払いのけようとするが、万力でとても敵わない。
手の主を見ると、
冴「!? ツ、ツエツエ・・・?」
ツ「久しぶりね、お嬢ちゃん。」
それは、江戸時代風の衣で立ちをしていたが、間違いなくツエツエだった。
冴は、少し前に受けたツエツエによる陵辱事件を思い出し、一気に身体が震えた。
またあんな酷い目に遭う・・・冴の顔が恐怖に染まる。
冴「いやっ! くっ、、うく、、痛い、離してよ!」
必死に髪の毛の乱暴な引っ張りに抵抗しようとするが、
ツ「周りをよくご覧なさい、お嬢ちゃん。」
冴「?、、あ!!?」
ツエツエの言葉に当たりを見渡した冴は驚いた。
今まで洞穴の出っ張りの死角でよく見えなかったが、さっきまで執拗に冴達を追っていた侍達が、刀を冴に向けていた。
そして冴が気付いたのと同時にその刀を目の前まで運び突きつけた。
侍「やっと捕まえたぞ、大人しく縄に付け!」
冴(そ、そんな、、足音は一つしか、、それ以上は全然しなかったのに…)
もはや抵抗できない・・・冴は強ばっていた身体の力を抜いた。
その隙を見て、ツエツエは髪の毛を掴んだまま少女を仰向けに押し倒した。
冴「きゃあっ!」
と同時に二人の侍が冴を押さえつけ、
侍「縄を打て!」
小さくもがく少女を前手に縛り上げた。
続いてきつく胸縄をし、さらには腰縄を施し、手首の縄と腰縄を繋いだ。
そして親指同士の根元を糸のような細い線でキリキリと縛り合わせ、最後にボロボロの布きれを冴に噛ませ、猿轡をした。
冴「うぐっ! むう…」
これで拘束が完成した。
親が格闘家で昔からの伝統の道場に住んでいたから、冴も知識としては知っていた。
これは、手錠など金属品が無かったこの時代の重犯罪者に対する捕縛術だった。
<当然フィクションです。↑>
その拘束力はかなりの物で、手首の縄を引きちぎろうと力を入れると、縛り合わされた親指同士がキリキリと締め上げられ、その痛みからあまり力を入れられない。
一つ不思議なのは、何故か親指の縛めだけロープでなく細い糸のような物だったが。
さらに、手首を腰縄と連結することで手首の動きを制限し、胸縄で腕の動きを封じ、さらには胸を絞るため女性には苦痛とかなりの恥辱を与える。
腰縄の余りをリールとして使い逃げられないようにする。
そして口の猿轡、、声を出せなくするだけじゃなく、噛ませは屈辱を与える。
そんな拘束を施された冴は、絶望感に胸を押しつぶされそうになる。
傍にいたツエツエが、冴に囁く。
ツ「親指の糸はピアノ線、私からのプレゼントよ。気に入っていただけたかしら?」
冴「っ・・・!」
悪意たっぷりの行為に、冴は悔しげにツエツエを睨む。
そんなツエツエに侍が礼を言う。
侍「誰だか知らねえが、感謝するぜ姉ちゃん。犯罪者の居場所を割り出して、逮捕に協力してくれたんだからな。」
ツ「いいえ、どういたしまして。フフ」
冴「っ…(くっ、、悔しい…)」
またもやツエツエの罠に無様に嵌ってしまった。
おそらく足音が聞こえなかったのも、ツエツエの指示によるものだろう。
冴は悔しげに猿轡を噛み締める。
だが侍は冴を引っ立て、
冴「んぅっ!」
侍「おら立て! 牢屋までしっかり連行してやるからな。」
歩かされる時、ツエツエは少女の顎を摘み、耳元で囁く。
ツ「じゃあ、頑張ってね。子猫ちゃん。チュッ」
最後にあざとくほっぺたにキスをした。
冴は悔しさの余り、思わずくぐもった悲鳴を上げもがく。
冴「んんぅ~っ!」
侍「このガキ、何もがいてるんだ! 大人しくしねえか!」
冴「んっ!!(痛い!)」
そう言って冴の頭を強く小突いた。
容赦ないゲンコツに冴は一瞬目が眩み、大人しくなる。
侍「さっさと歩け! 小娘が」
抵抗をする冴に苛ついた侍が乱暴に冴を引っ立てる。
その抵抗はツエツエのせいなのだが。
まあ、そもそも侍達は、異形な風貌の冴達を警戒し、逮捕しようとしたところで侍仲間が何人か冴達に倒され、さらにはずっと逃げ続けるから追う羽目になったため、この時点で冴を相当毛嫌いしているのだが。
町に戻り、冴は縛られたまま大人しく町中を連行される。
周りは野次馬でざわつく。
異形な風貌による好奇心が一番の理由だ。
それでも中には何人か同情する声もあった。
「まあ可哀想、あんな年端もいかない娘さんを。」「あれは重犯罪者に対する縛めだぜ。そこまでするか?」
等々。
しかしやはりほとんどが好奇と嫌悪の視線で、その視線を大人しく受け続けなくてはならない冴は、顔を赤らめ自然と身体が震えて俯いてしまう。
冴(みんな、、海! お願い気付いて、、助けて…!)
しかしそんな心の声が仲間に届くはずなど無く、溢れそうな涙を堪えるくらいしか頑張ることはなかった。
そして屋敷に着き、冴は木牢でなく鉄牢に閉じこめられた。
しかも縛めはそのままだ。
冴(くっ、、何とか脱出しなきゃ)
まず手首の縛めを口で噛み切ろうと思ったが、猿轡が邪魔な上に時間が掛かりそうなので、カギを開けて逃げることを先決とした。
ジャージのポケットから、ヘアピンの針金を取り出し、牢屋の外側に縛られた手を通して、鍵穴を針金で探った。
数分後、ガチャリとカギが開き、冴は牢屋からの脱出に成功した。
恐る恐る屋敷の外に向かう。
そして屋敷の入り口に来たところで、
侍「囚人が逃げ出したぞー!」「逃がすな捕まえろ!」
見張りに見つかってしまい、冴は慌てて走り出す。
休んだおかげで若い身体はすっかり快復し、体力万全だったため、思い切り走れた。
しかし上半身を縛られている不自由さで、上手くバランスが取れずに追いつかれそうな場面があった。
しかし複雑な町の通りをジグザグに進み、冴は何とか追っ手を撒くことに成功した。
冴(ふう、何とか助かったあ。今の内に・・・)
袋小路の陰に座り込み、猿轡を外そうとするが、腰縄のせいで手首が顔まで届かない。
冴は身体を丸めて、手首が顔に届いた。
冴「ふがっ、ぐ、かはぁっ、、はあ・・・」
猿轡を口から外すことに成功した。
首に垂れた猿轡の布を見るとかなり薄汚く、こんな物を噛まされていたのかと唇を噛む。
冴(次は手首の縄を噛み切らなきゃ・・・)
再び身体を丸めて、手首にきつく結ばれた縄に歯を当て、噛み締める。
しかし縄は想像以上にきつく施されており、たわみが全く出来ないため噛み切れそうにない。
それでもやらないよりはマシ、冴は健気にその作業を続けた。
だがその時、追っ手が来てしまった。
侍「いたぞー!」
冴「きゃっ!」
慌てて冴は立ち上がり、走り出した。
侍「逃げるんじゃねえ!」「待てこら!」
縛られたままの逃走ではすぐに追いつかれる。
そこで冴は、振り返り先頭の侍に蹴りを放ち倒し、再び逃げ出した。
侍「この小娘ぇ! 逃がすか!」
これを繰り返し、冴は奇跡的に逃走に成功した。
だがその様子をじっくり見ていた人が居た・・・。

再び追っ手から逃れ、物陰に隠れた冴。
冴「はあっ、、はあっ、、はあっ、、」
さすがに疲れてしまった。
何とか逃げれないことはないが、何度も見つかって逃げては体力が削られ、いつか捕まってしまう。
急いで縄を切る作業に専念する。
冴「あぐっ、、くぅ・・・っ!」
しかしきつく締め上げるような手首の縛めは、歯で噛み切る余裕などほとんどなく、歯で噛み切るのは不可能なのでは、と絶望感が募ってくる。
それでも冴は健気に作業を頑張り続けた。
しばらくして、健気な作業の甲斐あって何とか縄にたわみが出来てきて、歯で一本を咥え引っ張り、噛み締めた。
冴「ぐっ、ぎいぃ…!」
だがその健気さのせいで、後ろから迫る気配に気付くことが出来なかった・・・。
その気配はゆっくり忍び足で冴に迫り、手拭いを取り出すと、冴が気付いてないことを確認して、素早く彼女の口に掛ける。
冴「んぐっ!?、ふぐううっ!」
縄を切る作業に専念していた冴は、いきなり手拭いを噛まされ、さらに一気に引き締められたことに大きく驚き困惑した。
だが混乱する冴に、淡々と作業は進んだ。
手拭いをギュッと引き絞られ、頬に痛いくらい食い込んだ。
口にしっかりと噛ませた猿轡を、後頭部できつく結び括り上げた。
ここで冴は解放された。
冴「んんっ!」
慌てて立ち上がり後ろを振り返った。
冴(! ツ、ツエツエ・・・!)
忌々しいツエツエだった。
少女の隙を見て後ろから迫り、新たな猿轡を噛ませたのだ。
冴はツエツエと対峙したが、
ツ「ホホホッ、そんな格好で私と戦うつもりかい? 相変わらず頭の弱いお嬢様だ事・・・」
冴「っ・・・!!」
バカにされ怒るが、確かにツエツエの言うとおり、この状態でツエツエに敵うはずなど無かった。
そう理解した瞬間、恐怖から腰が引けてしまったが、そんな弱々しい可愛い姿にツエツエは。
ツ「安心をし。今回は私は直接手は下さぬよ。この世界に派遣したオルグが、お前を虐めたい、て言うからねえ。だから私は、陰から見守るだけ。お嬢ちゃんに関しては、ちょっとばかり意地悪しちゃうけどねえ。」
冴「く・・・っ」
そう、ツエツエは冴に対し異常な憎しみと執着を持っており、そんなツエツエと対峙して冴は怯えを隠しきれない。
さらに、今の台詞から自分を狙っているオルグが他にもいることも知り、動揺する。
そんな冴を満足げに眺めながらツエツエは、高笑いと共に消えていく。
ツ「子猫ちゃんの苦しむ様をじっくりと見させてもらうわ。アジトで待ってるからねえ、オホホホホッ」
冴「む、、ぐうっ・・・!」
その言葉に恐れおののき、すぐさま身体を丸めて猿轡を外そうとする。
しかし今回の猿轡は、さっき侍に噛まされた物よりもはるかにきつく噛まされており、頬に痛いくらい食い込むほどだ。
幾ら手首で外そうとしても、口に深々と噛まされた猿轡は外れてくれなかった。
腰縄と胸縄のせいで、後頭部の結び目にはとても手は届かない。
冴は仕方なくそのまま手首の縄を噛もうとするが、太い手拭いは彼女の歯を完全に咥えさせており、ほとんど噛めない。
冴(いや、、どうしてこんな事に・・・海!)
恐怖と淋しさから、愛しい海を心で求めるが、来てくれるはずもない。
侍「いたぞ!」
止めを刺すように、侍に見つかり追われる。
冴(もういやだ!)
何度か見つかり追われては死ぬ思いで逃げ、隠れるたびに縄を解こうとするが、きつい猿轡のせいで全くほどける希望が見えなかった。
ツエツエの狡猾なまでの暴虐に、冴は嗚咽を漏らす。
ふと、辺りを見渡したとき、向こうに森が見えた。
ここは町の端、傍に森があったのだ。
町にいると侍に追い回される、、仕方なく冴は森に向かった。

森に着くと、枝や石が転がっているのを見て閃いた。
冴(そうだ!尖ってる枝か石で切ればいいんだわ!)
そう思いつき一気に希望が戻り、懸命に適当な材料を探す。
すると、一部分が尖っている岩が見えた。
これを使うことにしよう。
その岩に駆け寄った冴は手首の縄を岩の尖りに擦り付けていった。
・・・そして数分、手首の縄がとうとう切れた。
冴(やった!切れた!)
喜び、猿轡を外そうと結び目を探る。
結び目は本当に固く、容赦ないツエツエの扱いにおののきながら、何とか猿轡を外した。
冴「くはあっ、、はあ、、」
そして腰縄と胸縄も何とかはずした。
だがもう一つ、親指の縛めだけはほどけない。
親指だけロープでなくピアノ線できつく縛られていた。
それはとても丈夫で、いくら岩に擦り付けても歯で噛んでもビクともしない。
ツエツエからのプレゼント、、何とも忌々しい物だ。
この拘束だけは諦めるしかなかった。

「おぎゃあっ、、おぎゃあっ、、」
その時、森の奥で赤ん坊の泣き声がした。
冴は声がする方向に向かった。
見ると、小さな赤ん坊が森の中で泣いていたのだ。
冴「可哀想に、、捨て子かしら。」
赤ん坊の可愛さと冴の優しさ・母性本能から、冴は赤ん坊を胸に抱いた。
冴「大丈夫よ、泣かないの♪」
微笑みを向け、抱いた赤ん坊をなだめる。
本当に可愛いなあ、と赤ん坊を見つめるが、赤ん坊の様子が変わった。
冴「え?、なっ!?」
泣き声が段々しわがれた声になった、と思ったら、老人に変化したのだ。
冴「ああっ!」
赤ん坊は一気に重くなり、冴をその場に押し倒した。
とても重く、冴は引き剥がそうとするが、赤ん坊は冴の胸を鷲掴みにしたまま離れない。
冴「ぐうっ、、まさかこれって、子泣き爺?」
話に出てくる妖怪、、けど伝説だけの生き物だとばかり思っていた。
子泣き爺は赤ん坊の姿に化けて抱いた人を押し潰すという。
しかし、そこから先は良く分からない。
そのまま潰し殺すとか脅かすだけとか色々あるが、ハッキリしない。
これからどうなるのか…、それは、とてもリアルで恐ろしいものだった。
何と子泣き爺は、鷲掴みにして離さない冴の胸の頂上に、ジャージ越しに吸い付いたのだ。
冴「きゃあああーっ!!」
いきなりの暴虐、乳首を吸うその吸引力はとても強く、冴はたまらず悲鳴を上げてしまった。
このままではまずい、冴は体術で子泣き爺の人体急所を思い切り突き、何とか爺を引き剥がすことに成功した。
そのまま慌ててその場から逃げた。
妖怪にも人体急所の技が効いてよかった。
それにしても、子泣き爺の実態が胸に吸い付くという酷い物だったなんて、、
冴は幻滅した。

しかし休んでいる暇はなかった。
「ほう、子泣き爺を撃退したとはな。やるではないか、お嬢さん。」
慌てて後ろを振り返る。
そこには、黒の大きいマントに身を包んだ包帯ぐるぐる巻きの大男が居た。
冴「あんたは、、何者なの?」
恐る恐る聞く。
この異様な風貌、こいつも妖怪なのだろうか。
「私も妖怪だよ。何者かは後で痛いほど思い知るだろう。悪く思うなよ、我々の住処に無断で立ち入った、お嬢さんが悪いんだからな。」
この森は妖怪達の住処で縄張りだったのだ。
必死に逃げて、いやな森に入ってしまったものだ。
しかし戦うしかない。
親指を縛られた不自由な格好のまま、冴は構える。
先に仕掛けたのは包帯男だった。
包帯男は跳んで冴に襲いかかった。
冴はタイミングを計り、蹴りを浴びせた。
包帯「ぐはっ・・・!」
その場で倒れる包帯男。
冴(こいつ、大したこと無い・・・?)
包帯「フフ、やるではないか。子泣き爺を撃退できたわけだ。だが、、」
包帯男は素早く跳んだ。
そして冴の周りを素早く動き回った。
冴「なっ、、速い!?」
包帯「速さには自身があるのだよ」
困惑し、周りをすごい速さで跳び回る包帯男に構える。
しかしその硬直状態もすぐに終わった。
包帯男は素早い切り返しで冴に迫り、冴の目の前でマントをバッと開いた。
冴「きゃっ!ひゃぅっ、ぐ、ぅ・・・」
驚いた冴の身体をマントで圧し包むように抱き締めた。
冴「むうっ・・・」
冴の小さな体は、大男のマントにすっぽりと覆い被されてしまった。
包帯男は腕だけでなくマントでも冴の身体を押さえ付けることが出来る。
即ち冴は、足首から頭まで、全身を捕らえられたことになる。
包帯男は片手で冴の腰を強く抱き、もう片手で後頭部を押して顔を自分の胸倉に押しつけた。
声が出なくなるほどの強い押し付け方で、呼吸も苦しい。
大きいマントからは彼女の足下のシューズと、頭のてっぺんちょの髪の毛だけが覗いている。
足は地面から浮いており、完全に包帯男に抱き締められた状態だ。
冴(いやぁっ! やだはなして! く、苦しい…)
シューズや髪の毛が微妙に動き揺れ、冴が嫌がって抵抗しているのが分かる。
だが力において女性の冴では大男に敵わず、さらにマント全体で全身を捕らえられているため、振り解けない。
包帯男は少女を抱擁したまま、抵抗してもごもご揺れる少女の頭のつむじを眺め、
包帯「もう少しで離してあげるから、それまで大人しくしてようね。チュッ」
つむじに口づけした。
冴「っ! んむっ!、、ふむぅ・・・!」
いやらしい抱擁と口づけ行為に、冴は屈辱で一杯だったが、とても振り解くことが出来ない。
包帯「あと少しで終わる。我慢しなさい。」
冴「むぅ~・・・ぅう(あと少しってどういう事よ、、あたしに何をするつもりなの・・・っ?)」
そしてしばらくして、
包帯「さあ、完成だ。お疲れ様。」バサアッ
冴「ぷはあっ、、はあっ、、はあっ、、」
冴は荒々しく呼吸をしてその場にへたり込んでしまった。
無理もない、顔全体を包帯男の胸倉に押しつけられ、口と鼻を塞がれていたような状態だったのだ。
久方ぶりのちゃんとした呼吸に、苦しそうだ。
冴は何とか身体を上げて、包帯男から距離を取り対峙する。
冴「何を、、したのよ!?」
苦しそうに聞く冴。だが包帯男は涼しい顔で
包帯「もう少し付き合ってくれたら教えてやるよ。ほら」
マントを開け、中から長い白の布が出てきた。
布は独りでに宙に舞っていて、先端には顔のような物があった。
冴「これは、、確か、一反木綿?」
包帯「ほう、よく知ってるねお嬢さん。そう、実は私のお友達でね。これは、こう使うんだよ。」
と、包帯男が指さした先に鼠が居た。
すると、飄々と宙に浮いていた一反木綿が鼠に向かって飛び出し、ぐるぐる巻きにした。
冴「なっ!?」
そして、力強く鼠を締め上げ、、鼠を殺した。
冴「ああ・・・」
一反木綿は包帯男の元に戻った。
包帯「さて、何に使うか、もう分かるよね?」
冴「あ、あたしを、、捕まえて、絞め殺す気なの・・・?」
親指を縛られた手で思わず胸を庇い、恐る恐る呟くように聞いた。
包帯「あっはっは、殺すことまではしないさ。まあ、死にたくなるほど恥ずかしい思いはさせるけどね。」
冴「っ・・・!!(いや、、いやだっ! 怖いよ。。)」
見る見る怯え、腰を引く冴。
冴(怖い…。ダメ、、ダメよあたし! 戦って、海達とちゃんと合流するの! あたしはガオレンジャーなんだから!)
けどすぐに弱気を払拭し、包帯男をキッと睨んだ。
冴「諦めるもんですか! 一反木綿1匹で、あたしを捕まえられると思ったら大間違いよ!」
そう、親指を縛られているが、体重が軽い冴は、身軽さなら自信があったのだ。
さっき見た動きから、一反木綿にも捕まらない自信はある。だが、
包帯「そうだね。けど、」
バッとマントを全開した。
冴「なっ・・・!?」
包帯「4匹なら、どうだい?」
包帯男のマントから、新たな一反木綿が出て、4匹になった。
冴「あぁ・・・」
冴は驚いて目を見開くと同時に、クラッと目眩に襲われ、顔を絶望にしからめる。
1匹ならともかく、4匹もバラバラに攻めてこられたら、とても防ぎようがない。
そう思っている内に、4匹は冴を遠巻きに取り囲み、逃げられなくした。
どうしようもない、、せめて両手が自由だったらどうにかなったかもしれないが。
親指のきつい縛めを見て、唇を噛み締める。
4匹は彼女の周りをニュルニュルと気持ち悪い音を出して泳ぎながら、距離は詰めてこない。
しかしいつ襲ってくるか分からない。
冴は必死に4匹の動きを目で追い、緊張して構える。
と、1匹が冴に迫ってきた。
何とか避けたところに、2匹目が来た。
3匹目、4匹目も少女に迫り、少女は何とか健気に避け続けた。
しかしそれは最初の内だけだった。
1匹が後ろから迫り腰に巻き付いた。
冴「あっ! きゃあっ!」
すると、その隙にもう1匹が彼女の胸に巻き付いたのだ。
さらに3匹目は少女のスカートに潜り、股間に絡みついた。
冴「いやだっ! う! むぐぅっ・・・」
思わぬ場所に巻き付いて来る木綿に困惑し、大きな隙ができた。
最後の1匹が尾を素早く少女の口内に入れて頬張らせると、そのまま顔を一周して少女にきつく噛ませ猿轡、さらに一周して今度は被せ猿轡をきつく施し、最後の一周で首を絞め、厳しい猿轡を施してしまった。
驚き慌てる冴に、他の3匹も淡々と巻き付いていく。
腰に巻き付いた木綿は少女の手首にも巻き付き、連結された。
胸の木綿は胸の上下だけでなく、絞られて少し深くなった谷間をバツ字に締め上げ、さらに胸を絞り上げる。
そして股間に巻き付いた木綿は、フンドシのようにきつい股縄となったのだ。
それはとてもいやらしい縛めで、恥ずかしがりの年頃の冴にはとても辛い拘束だった。
さらに、生きた拘束は律動的に少女を締め付ける。
胸、腰、手首、首、口、そして股間。
特に股縄はショーツ越しとはいえ食い込むほどにきつく施されギュウ、ギュウ、と律動的に締め付けられ、顔から火が出るような恥ずかしい思いの冴だった。
何せ妖怪とはいえ生き物に股間や胸や口を締め上げられているのだから。
気持ち悪くてその恥辱は計り知れない。
恥辱の余り涙を流す冴だった。
包帯「すっかりしおらしくなっちゃって、、気に入ってくれたかな、私からのプレゼントは・・・」
その言葉に冴は涙目でキッと包帯男を睨み上げる。
冴(気に入るわけないじゃない! この変態!、え? 待って、今プレゼント、て英語で・・・)
冴の疑問を読んだ包帯男が、満足げに語り出す。
包帯「私はオルグの一味だよ。ここの妖怪の子孫でもある。正体は、」
すると包帯男は自分の腕の包帯をするっと取って見せた。
そこにはあるはずの手がなかった。
冴「んぅっ!?」
恐がりな冴はリアルにビビって腰を引く。
包帯「透明人間さ。自分だけでなく、他人を透明化させることが出来るんだ。」
冴(!! それって、、それって、まさか・・・さっきの。)
その言葉を聞いて冴は、さっきの抱擁された時のことを思い出した。
包帯「フフ、気付いたようだね。その通り、さっき捕まえて抱き締めた時、お嬢さんを透明化したのさ。自分では分からないだろうが、お嬢さんはもう誰にも見えないようになっているのさ。」
冴は自分の身体を見て、ワナワナと震えだした。
その様子に包帯男は満足げに
包帯「視覚だけじゃないよ、、長時間かけて抱き締めて仕込んだからね。おかげで触覚も、嗅覚も、聴覚も、、周りの人間の五感で気付かれないようにしてやったよ。」
冴(い、いや、、そんなの・・・)
これでもう仲間と合流できなくなってしまった。
最後の希望を叩き潰された。
ショックのあまり顔を俯かせてしまう。
包帯「ただ、気付かせる方法が一つだけあるがね。」
それを聞いて冴は、顔を上げて答えを求める。
包帯男はニヤつきながら、
包帯「それは、擬音語じゃない、ちゃんとした言葉で話しかけることだ。」
冴「う、、ぐぅ・・・(あ、ああ・・・そんなあ・・・)」
湧き出た希望がすぐに潰されてしまった。
厳重に施された猿轡、、口内に咥え込まされ、その上から噛ませ、さらにその上から被せ猿轡、止めに首絞め。
どんなに頑張っても言葉を発する事などできないのは明白だった。
再びしわくちゃな絶望の顔に戻ってしまった。
いちいち反応が素直で可愛らしい。
苛め甲斐があるな、と満足げに包帯男は、立ち尽くす冴に興味津々に近づく。
ツエツエが言っていた、冴を狙うオルグとはこいつの事だったのだ、と冴は理解し決意する。
もうオルグに捕まるのはいやだ!と。
その時、冴はバッと顔を上げ、
冴「ふぅっ!!」
包帯「ぐああっ!」
渾身の蹴りを包帯男の急所に浴びせ、もろに食らった包帯男は倒れた。
冴「ふう、、ふう、、」
律動的な木綿の締め付けに苦しみながらも、倒れた包帯男を怒った顔で見下ろす。
その姿に包帯男は・・・
包帯「フフ、、やられたよ・・・。だが私が倒れても、1日は透明効果は持続する。さらに、私は部下の透明戦闘員を町に放った。君はもう、仲間から隔絶されて、我々オルグに、捕まるしか、ないのだよ。フフフ・・・フハハッ」
そう言って包帯男は消えた。
冴(そんな・・・みんなと会えない、、それに、敵にしか見えないなんて・・・1日もそんなの、、我慢できないよ!)
冴は茫然自失のまま町に向かって歩く。
海や仲間を捜すためだ。
もうどうしていいか分からない、仲間に縋るしかないのだ。
無駄だと分かっていても、一人でいるのは嫌だった。

町に着いても、誰にも気付いてもらえない。
本当に透明化されてしまったことを思い知った。
その時、
「いたぞー!捕まえろー!」
冴「んんっ!?」
包帯男の集団が10人ほど追いかけてくる。
おそらく奴のいってた部下の追っ手だろう。
周りは誰も気付かない。
冴は不自由な身体を必死に振って走った。
その時、胸と股間を締め上げていた木綿が、今までより強めにギュウギュウ締め付けてきた。
冴「んっ、、ぐう!!」
縛り上げた少女の動きを鈍らせ、追っ手に捕獲させるようにするためだ。
何とも忌々しい縛めだ。
しかし立ち止まるわけにはいかない。
小柄な少女は狭く複雑な通りを容易にジグザグに進み、追いついた追っ手を振り返りざま一人ずつ蹴り倒した。
その際、股間や胸を強く締め上げられ、倒すと同時に悲鳴を上げる。
そうして、何とか撒いた。
長く走ったせいでかなり疲れた。
ただでさえきつく縛られた不自由な身、そしてこの猿轡だ。
何重にも厳しく口を塞ぎ、喉をも絞める、生きた猿轡。
しかも時折締め上げてくるのだ。
呼吸はかなり制限されてしまい、その分疲労も早く激しい。
冴は袋小路の陰でへたり込んだ。
冴(もういやだ、、こんないやな縛られ方ってないわよ。どうすればいいの・・・お願い、誰か助けて!)
ついに泣きベソをかいた、その時、通りに海の姿が・・・。
冴(か、海!!)
周りを警戒して歩いていた海を見つけ、冴は今までの不安恐怖、淋しさが弾けて縋るように海の元へ走った。
海の腕を掴み揺する、しかしまるで手応えがない。
恐れおののく冴は、払拭するように呻き声を出す。
しかしどんなに必死に声を出そうとも、海には届かなかった。
本当に五感で感じ取れないようにされてしまったのだ。
気付かせてくれる唯一の方法、言葉を発する事。だが、
冴「んむぅ~、、むふぅっ」
どんなにちゃんと喋ろうとしても、一反木綿による強力な猿轡によって、くぐもった声しか出ず、言葉を発せられなかった。
冴(気付いて、、お願い、海・・・!)
ボロボロと涙を流し、海の傍で泣き喚く。
もうどうしようもないのだろうか・・・
その時、海が何かに気付いたか、いきなり走り始めたのだ。
冴「むふう!?(あ、、待って海!)
冴も何とか不自由な身で走るが、海はさらに加速し、全速力になった。
元々冴よりもずっと足が速い上、今の縛られた身ではとても追いつけない。
冴「んぅ~~!!(いやだあ! 待って海、置いてかないで・・・!)んっ!」
それでも必死で追いかけるが、不自由な走り方のためか転んでしまった。
海は遠く離れてしまい、冴はその場に泣き崩れた。
その姿も、誰にも気付かれない。
冴(誰でもいい、誰か助けて・・・)
その時、肩を掴まれた。
冴は驚き、しかし縋る思いで振り返った。
戦闘員だった。おそらく透明人間の。
海の出現で気が緩み、不注意に飛び出し悲鳴を上げてしまい、見つかってしまったのだ。
冴「んんっ!」
戦闘員が冴を殴り倒そうと拳を振りかざした。
冴「むう!」
冴は間一髪で避け、そのまま逃げ出した。
「待ちやがれ!」
冴は逃げて、振り返りざま蹴りを浴びせ、何とか撃退した。
誰にも気付いてもらえない、、海にまで、、気付いてくれるのは自分を捕まえようとする追っ手だけ・・・
冴は絶望感に苛まれる。
とにかく町にいては危険だと判断し、気を付けながら町外れの林に向かった。

・・・林に着いた。
どうやら妖怪は居なさそうだ。
縛られた身体のまま、林の中に隠れようと歩いていたその時、
バチンッ!
冴「んっ!!」ドサッ
いきなり左足首を強く噛み付かれた痛みに、その場に倒れてしまう。
一体何が、、妖怪か?
左足首を見てみた。
冴(! ど、動物用の、、罠・・・?)
それは妖怪ではなく、動物捕獲用のトラバサミだった。
おそらく猟士か誰かが仕掛けた物だろう。
だがこの時、冴はとんでもないことに気付いた。
冴は上半身を雁字搦めに縛られているため、トラバサミを自力で外せないのだ。
トラバサミの食い込みは強く、とても引っ張って抜け出すことは出来ないだろう。
誰かに取り外してもらおうにも、敵以外には誰にも気付いてもらえないのだ。
つまり、敵に見つかるまでここでじいっと座っているしか道はないのだ。
ここは林の端で見つかりやすく、いつ敵に見つかってもおかしくない。
一気に心臓の鼓動が早まるように焦る。
冴(し、しまった・・・!)
挟まれた足首はソックス越しにうっすら血が滲んでいた。
引っ張ろうとすると、怪我した部分に激痛が走り、結果ビクともしない。
冴「んぅ・・・(だ、ダメ、、もう動けない・・・)」
その場で横座りした体勢のまま、冴は焦りだけが強まっていく。

・・・
そして何時間くらい過ぎたろうか、結局状況は全く変わらず、上半身を緊縛されトラバサミに足を挟まれた状態で、冴は横座りで大人しくしていた。
とその時。
「いたぞー!」「捕まえろー!」
とうとう見つかってしまった。
冴は動ける範囲で戦闘員を見たまま後ろに身体を動かす、無駄なあがきをした。
しかしついに戦闘員に取り囲まれてしまった。
「こいつ罠に掛かってるぜ。」「哀れな娘だ。懸命に逃げた割には、最後は呆気なかったな。」
戦闘員は刀を冴に突きつける。
冴「んっ!」
目の前に鋭い刃が、、思わずビクつく冴。
「これからアジトに連行する。大人しくしてろよ。」
「ツエツエ様が、お前がアジトに連行されるのを心待ちにしておられる。たっぷり可愛がってもらうんだな、まさに死ぬほどな。」
冴(い、、いや・・・、助けて、、みんな・・・海!)
とうとう冴はオルグに捕まり、アジトに連行されてしまう。
果たして仲間の助けは、冴の無事はどうなるのか?

(終)