蜘蛛の巣に掛かった蝶~2.複数痴漢
右手で尻を揉む痴漢の右手を掴み、左手でわき腹を這う左手を掴むリン。
しかしリンの左手は、何者かの手により掴まれ、強引に痴漢の手から引き離されてしまった。
リン「!??(え!? な、何…?)」
驚愕し、その手の主を探す。
超満員状態だったが、それでも何とか腕を見て、その男の顔を見上げた。
身長は180cm以上はゆうにある大柄で、筋肉質な身体をしており、何より仏頂面が印象的だった。
この男は無表情でリンのか細い左手首を図太い腕で掴み上げ、しかしそれ以上何もせず、ただ無表情で彼女を見据えた。
それにリンは怯えを見せ、しかしすぐにそれを隠すように気丈に男を睨む。
しかし男(この後は筋肉男と呼ぶ)はやはり動じず、静かに、無表情にリンを見下ろす。
何故かそれだけでどこか凄い威圧感をリンに与え、それに彼女は息を呑む。
外面では気丈に振舞いながらも内面では怯えている。
それを観察していた痴漢。
痴漢(顔では強がってても心では怯えてるな。必死に顔に出すまいとして。くくくっ、想像以上にいい女だな。もっと嬲り者にしてややるよ。)
邪魔な手が無くなった痴漢は先ほどの尻と同様、まずわき腹に静置し、じっくりとリンに不安を与えた。
意識を自分の身体に戻したリンは、相変わらず尻を揉む行為に唇を噛みながらも、全く動かずただ置き続けているわき腹の手に震えた。
これからどうするのか…しかしどうされようが手を捕まえられた彼女はどうすることもできない。
まだ自由な、尻を揉む痴漢の手を掴む右手で抵抗したところで、おそらくもう一人の男のもう片方の手に捕まるのが落ちだ、いやむしろ男たちはそれをすでに予想して待ち構えているようにも見える。
とんでもない罠に掛かってしまったのではないか、彼女はそう感じおののいた。
『予め糸を張り巡らせ、獲物が掛かるのをじっくり待ち構える蜘蛛。獲物が掛かり、逃れようと抵抗するが、粘々した糸は身体から離れず、暴れることで逆に糸がさらに絡まり、動けなくなっていく。獲物にゆっくり近づき、自ら作った糸で動きが鈍くなりそれでも逃げようともがく獲物にさらに糸を巻いていき、ぐるぐる巻きにして動けなくする。後はゆっくりと動けなくなった獲物を食らうのみ。』
…そんな事を痴漢は感じ、高揚感を感じた。
痴漢(ここでは、痴漢である自分が蜘蛛で、この女がさしずめ、そうだな…糸にもがく小さな蝶々、てところか…フフ)
痴漢はわき腹にそっと置いた手の指を反らし、そしてそっとまたわき腹に戻し、また反らし、その繰り返しをした。
リン「っ…(いやっ!)」
そのくすぐっさすら感じさせるゆっくりな行為だ、リンのわき腹の生肌の柔らかいすべすべな感触、温かい温度、それを指で感じ取ろうとするようないやらしいソフトタッチに、リンは屈辱と共にどうしようもないじれったさを感じる。
今すぐにでも手で払いのけたかったが、筋肉男に掴まれた左手はどんなに力を入れてもびくともせず、指だけがむなしく宙をかく。
筋肉男は、そんなリンの努力をあざ笑うかのように、捕まえた彼女の左手をもう片手で撫でさすった。
リン「くっ…ぅ…」
それだけでもリンにはたまらない屈辱だ。
尻は相変わらず揉まれ続け、右手はそこからはなせられない。
それでもそのおぞましい感触から逃れようと、できる限り脇を曲げて逃れようとするが、満員電車では大して動かない。
少し反らせた所で、痴漢の左手は容赦なく追いかけてきて、元通りわき腹に吸い付く。
さらに痴漢は今度は、わき腹を掌全体を動かし撫で付けた。
リン「ぅ…っ!」
好きに大事な身体を蹂躙される屈辱、抵抗してもねじ伏せられる無力感と、じれったさを感じる静かな愛撫に、リンは苦悶の表情をもはや隠せなかった。
リンは声だけは出すまいと懸命に、目を瞑り唇を強く結び、時折噛み締める歯を出し息を吐く。
痴漢は掌でわき腹をゆっくり、やさしくさすり、時折爪を立てて引っ掻き、リンをいたぶる。
その度にリンは小さく悲鳴を上げ、しかしすぐに声を上げまいと唇を結ぶ、それをあざ笑うかのように痴漢は撫で擦る。
痴漢はわき腹だけに留まらず、鳩尾やその上部にもさらに背中にも掌を這わせ、その度にリンは撫でるところと逆方向に身体を小さく反らし、右に前に後ろに反らした。
鳩尾を撫でる時に指を立て、何と臍の中に指を入れて爪でまるで臍垢をほじくるようにさする。
何とも図々しい行為に、リンは唇を震わせて目に涙を浮かべる。
そして、さらに激しく、しかし小さく身体を動かして抵抗する。
右手で尻を揉み左手でわき腹や鳩尾を擦る、リンを抱きしめるような格好になった痴漢は、まるで獲れたての魚のように痴漢の手の中でぴちぴちと動く彼女に興奮する。
そしてその抵抗の動きは、直接リンのお尻に伝わり、まるでお尻を景気良く振っている様で、痴漢はさらに激しく尻を揉む。
痛みすら伴うその感触に、リンは屈辱でいっぱいで、痴漢の手を掴む右手の力を強めた。
電車は減速を始める、どこか駅に着くのだろう。
リンはわき腹の愛撫には我慢し、意識をお尻の蹂躙に集中した。
そしてそれは、痴漢の目にも明らかだった。
彼女の注意をお尻に逸らせた痴漢は、わき腹を撫でていた左手をそっと上げていった。
気付かれないようにさらに痴漢は、お尻の右半分だけでなく全体を撫で付け、揉む。
割れ目に埋めた小指を中心に、もう4本の指を円を描くように撫で擦り、さらに今度はお尻の割れ目を攻撃したりと、彼女のお尻を蹂躙した。
その多彩な蹂躙は、常にリンを驚愕させ苦しませ、ずっと彼女の注意を引き付けて離さない。
電車が駅に止まる。
その間に痴漢の左手は、シャツの中でゆっくりと上に上がり、そして掌を広げて構えたかと思ったら、、
リン「きゃっ!!」
ガララッ
リンは思わず悲鳴を上げてしまった。しかしそれと同時に駅に着いた電車の扉が開き、その盛大な音で彼女の悲鳴は掻き消えた。
あまりのタイミングの良さに、痴漢が計算してやったことはリンでも分かる。
それだけでも充分屈辱だが、それを上回る驚愕に襲われた。
彼女が恐る恐る視線を下に下ろす、そこは胸だ。
リン「ぁ、、ぁあ…」
屈辱よりも驚愕とその視覚的滑稽さにリンはおののいた。
何と、シャツの胸に当たるところから、男の大きな手が浮き出ていた。
痴漢は、いつの間にか左手をわき腹から上に移動させ、シャツの下から胸を掴んだのだ。
シャツの下から掴んだため、シャツに男の大きな手形が浮かぶ、何とも異様な光景にリンは恐れおののき混乱し、唇を震わせた。
駅から人が数人出ては入る。
右手で尻を左手で胸を掴んでいる痴漢は、ちょうどリンを抱き込む形になった。
そして痴漢は、リンを抱いたまま移動し、さらに奥に押し込んだ。
筋肉男もそれにつられ移動した、リンの左手を捕まえたままだ。
新たな痴漢場に連行されたリンに、痴漢の左手が動く。
リン「ひゃっ!」
ガララッ
痴漢は胸を力強く揉み込み、たまらず悲鳴を上げるが、またもや扉が閉まる音に掻き消された。
2度目、、明らかな計算行為、そしてそれに見事にはまる彼女自身、それに小さく笑う痴漢、、リンはあまりの悔しさに唇を噛み締め、歯軋りをした。
そんな行為にも痴漢にはたまらない。
痛みすら伴うやさしさの欠片もない胸を揉む行為に、たまらずリンは尻を揉む手を掴んでいた右手を、胸を揉む手に移し、シャツの上から痴漢の手を掴む。
シャツに浮かぶ手・指がもそもそと動く、まるで蜘蛛のような異様な光景に、リンは気持ち悪さを感じる。
しかしやはり痴漢の手は離すものかと彼女の胸を鷲掴み、揉み込む。
それでも痴漢の手を引き剥がそうと右手をもがかせるが、その時今度は痴漢の右手が動く。
リン「う…っ!」
右手の指をリンの尻の割れ目にパンツ越しに突っ込み、たまらず彼女は背を仰け反らせる。
それにより彼女の頭が後ろにいき、ふわっとなびく彼女のさらさらの長い黒髪が男の身体に触れる。
リンは胸にあった右手を尻に移し、痴漢の右手を防ごうと、しかし力強く鷲掴みした痴漢の手は離れない。
リンの髪を意識した痴漢はリンの後頭部に顔を近づけ、彼女の髪に鼻を付け、わざわざ音を立てて匂いを嗅いだ。
甘い花の匂いがした、シャンプーの匂いだろうか。
リン「っ…!」
頭の匂いを嗅がれたことに気付いたリンは、頭を少し下に下げ、そのせいでお尻を後ろに突き出すようにしてしまった。
すかさず痴漢は指を割れ目に押し入れる。
リン「くっ…ぅ…!」
背を仰け反らせ、また痴漢は髪の匂いを嗅ぐ。
強く尻を揉み込む手、それを必死に引き剥がそうとする彼女の手。
この際、髪の匂いを嗅がれることには目を瞑るしかない。
しかし、男たちはこうやって少しずつリンの希望を剥ぎ取っていくつもりなのだ。
それにまだリンは気付かない。
リンの意識が尻に集中するのを確認した痴漢。
と、痴漢は今度は左手で胸を力強く揉み込んできた。
リン「ぅあ…っ!(くっ! 明らかにあたしの身体で遊んでる…くやしい!)」
再び胸の手を掴む、痴漢が尻を揉む、尻の手を掴む、痴漢が胸を揉む、、
いつまでも続きそうな屈辱の連鎖に、リンは涙を流しながらも抵抗を続けた。
と、筋肉男のまだ自由な右手が動いたことに彼女は気付かない、その右手には何か持っている。
しばらく屈辱の連鎖が続いた。